「矢印灯器」の版間の差分
ページ作成 タグ: 曖昧さ回避ページへのリンク ビジュアルエディター |
細 仮称である旨を加筆 |
||
| (同じ利用者による、間の1版が非表示) | |||
| 2行目: | 2行目: | ||
== 概要 == | == 概要 == | ||
道路交通法では矢印を用いて特定の方向にのみ進行可能な現示を定義しており、その対応のために作られた信号灯器のことを指す。[[電球式]]の場合は青色の灯火に黒マスクをかぶせて矢印の形にしたものが見られ、[[LED式]] | 道路交通法では矢印を用いて特定の方向にのみ進行可能な現示を定義しており、その対応のために作られた信号灯器のことを指す。[[電球式]]の場合は青色の灯火に黒マスクをかぶせて矢印の形にしたものが見られ、[[LED式]]の場合は矢印の形に素子を並べたユニットが用いられる。かつて(特に昭和30〜40年代)は一貫した仕様が定められていなかったため個性のある矢印が見られたが、昭和47年の仕様書制定により統一されたため<ref name=":0">交通信号50年史編集委員会. [[交通信号50年史]]. 交通管制施設協会, 1975.</ref>、細かな改版等を除けば原則形状は一致している。 | ||
青色の矢印は車両の進行可能な方向を表し、黄色の矢印は路面電車の進行可能な方向を表す。路面電車用の矢印も概ね車両用と同一だが細かな点では異なるイレギュラーなケースもみられる。ここでは原則車両用のものを中心として扱う。 | 青色の矢印は車両の進行可能な方向を表し、黄色の矢印は路面電車の進行可能な方向を表す。路面電車用の矢印も概ね車両用と同一だが細かな点では異なるイレギュラーなケースもみられる。ここでは原則車両用のものを中心として扱う。 | ||
| 8行目: | 8行目: | ||
== 矢印の形状(形そのもの) == | == 矢印の形状(形そのもの) == | ||
概ね世代別に、以下に分類することができる。 | 概ね世代別に、以下に分類することができる。 | ||
=== T形矢印 === | |||
矢印灯器登場当初に、60W電球の光源で150mの距離から確認できるように作られた形状<ref name=":0" />。昭和41年頃まで使われていた。後述の[[矢型矢印|矢形矢印]]と似ているが、矢尻の形状が三角形に近く、先端にかけての矢柄の太さの変化が緩やか(または変化がない)である点が異なる。 | |||
=== 点光矢印<small>(仮称)</small> === | |||
[[交通信号50年史]]によると、[[日本信号]]が昭和33年に視認性を高めるために制作した矢印で、矢頭 <small><sup>(原文ママ)</sup></small> と矢柄を分離し、点光で表示する形式となっている<ref name=":0" />。現時点で実際に設置例されていた情報が確認されておらず、謎が多い。 | |||
=== 初期分離矢印<small>(仮称)</small> === | |||
[[交通信号50年史]]によると、[[京三製作所|京三]]と日本信号が昭和40年〜43年に用いていた<ref name=":0" />(この頃は矢印の形状が試行錯誤されていたため、採用は限定的だった可能性が高い)。矢尻と矢柄が分離されており、現行の矢印と似ているが、矢尻が中央で2つに分割されている点や、矢柄が太い点が異なる。情報が少なく謎が多いが、阪堺電車にかつて設置されていた路面電車用矢印がこのタイプである可能性がある。 | |||
=== 矢形矢印 === | === 矢形矢印 === | ||
[[角型灯器]]、[[初期丸型灯器]] | ''<small>詳細は[[矢型矢印]]を参照</small>'' | ||
[[角型灯器]]、[[初期丸型灯器]]の初期(昭和40年代半ば頃まで)には、矢形矢印と呼ばれる形の矢印が多く採用されていた。現行のものと比較すると矢印の矢の幅が先端に近くなるほど狭くなる。また、矢尻と線の間が結合している。平成24年の法改正により、矢形矢印は法的な矢印灯器とは認められなくなった<ref>{{出典|author=もり|title=道路標識と信号機の森|subtitle=信号機<大阪府> 矢形矢印の信号機|ref_date=2026/1/20|link=https://ds-mori.main.jp/soskc2.htm}}</ref>ため、現在はすべて更新され公道上からは絶滅している。 | |||
=== 旧マスク矢印 === | === 旧マスク矢印 === | ||
| 23行目: | 34行目: | ||
== 矢印の形状(方向) == | == 矢印の形状(方向) == | ||
現行の矢印においては、原則として「左折」「直進」「右折」矢印とされている。それぞれ左方向、上方向、右方向の矢印を持って対応する<ref>道路交通法施行規則 別表第一の二</ref>。本項ではこの3つを「基本形」と呼ぶ。しかし、法整備が整っていなかった頃の名残や、特殊な交差点などにおいては特殊な矢印が使用されることがあった。 | |||
なお、この基本形はそれぞれ「青」「黄」「赤」に対応しており、その下(縦型灯器の場合は右)に設置することが原則とされている。この方式でない設置方法は[[変則矢印]]と呼ばれる。 | なお、この基本形はそれぞれ「青」「黄」「赤」に対応しており、その下(縦型灯器の場合は右)に設置することが原則とされている。この方式でない設置方法は[[変則矢印]]と呼ばれる。 | ||
| 33行目: | 44行目: | ||
=== 転回矢印 === | === 転回矢印 === | ||
東京都渋谷区 {{交差点名|初台|Hatsudai}} および {{交差点名|笹塚|Sasazuka}} に、転回(Uターン)を許す矢印としてごく短期間設置されていた。右折矢印とは区別して、線分が右から下に屈折する形となっていた。右折矢印が当時は転回禁止だったために考案されたものであったが、法改正により右折矢印でも転回可能となった<ref>{{出典|author=もり|title=道路標識と信号機の森|subtitle=信号機<東京都> 転回矢印|ref_date=2026/1/20|link=https://ds-mori.main.jp/stky52.htm}}</ref>ため、更新が進んだことにより現在は絶滅している。 | |||
また、上記とはやや異なるものとして、静岡県に同様の屈折矢印が設置されている。これは転回とはやや異なり、交差点形状に合わせた形になっているものといえる。 | また、上記とはやや異なるものとして、静岡県に同様の屈折矢印が設置されている。これは転回とはやや異なり、交差点形状に合わせた形になっているものといえる。 | ||
=== 二股矢印 === | |||
ごく稀に1つの灯火で2方向の矢印を表示する灯器も設置されていたが、現在は残っていない。 | |||
== LED式の分類 == | == LED式の分類 == | ||
| 49行目: | 63行目: | ||
* [[変則矢印]] …… 矢印灯器が本来取り付けられるべき場所ではないところに設置されているものの俗称 | * [[変則矢印]] …… 矢印灯器が本来取り付けられるべき場所ではないところに設置されているものの俗称 | ||
* [[たんこぶ矢印|たんこぶ]] | * [[たんこぶ矢印|たんこぶ]] …… 矢印灯器が親灯器の上に設置されているもの(一灯のみを指すことが多い | ||
== 注釈 == | |||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
2026年1月21日 (水) 16:18時点における最新版
矢印灯器(やじるしとうき)とは、車両・路面電車の進行可能な方向を表す矢印が点灯する、信号灯器の一種である。
概要[編集]
道路交通法では矢印を用いて特定の方向にのみ進行可能な現示を定義しており、その対応のために作られた信号灯器のことを指す。電球式の場合は青色の灯火に黒マスクをかぶせて矢印の形にしたものが見られ、LED式の場合は矢印の形に素子を並べたユニットが用いられる。かつて(特に昭和30〜40年代)は一貫した仕様が定められていなかったため個性のある矢印が見られたが、昭和47年の仕様書制定により統一されたため[1]、細かな改版等を除けば原則形状は一致している。
青色の矢印は車両の進行可能な方向を表し、黄色の矢印は路面電車の進行可能な方向を表す。路面電車用の矢印も概ね車両用と同一だが細かな点では異なるイレギュラーなケースもみられる。ここでは原則車両用のものを中心として扱う。
矢印の形状(形そのもの)[編集]
概ね世代別に、以下に分類することができる。
T形矢印[編集]
矢印灯器登場当初に、60W電球の光源で150mの距離から確認できるように作られた形状[1]。昭和41年頃まで使われていた。後述の矢形矢印と似ているが、矢尻の形状が三角形に近く、先端にかけての矢柄の太さの変化が緩やか(または変化がない)である点が異なる。
点光矢印(仮称)[編集]
交通信号50年史によると、日本信号が昭和33年に視認性を高めるために制作した矢印で、矢頭 (原文ママ) と矢柄を分離し、点光で表示する形式となっている[1]。現時点で実際に設置例されていた情報が確認されておらず、謎が多い。
初期分離矢印(仮称)[編集]
交通信号50年史によると、京三と日本信号が昭和40年〜43年に用いていた[1](この頃は矢印の形状が試行錯誤されていたため、採用は限定的だった可能性が高い)。矢尻と矢柄が分離されており、現行の矢印と似ているが、矢尻が中央で2つに分割されている点や、矢柄が太い点が異なる。情報が少なく謎が多いが、阪堺電車にかつて設置されていた路面電車用矢印がこのタイプである可能性がある。
矢形矢印[編集]
詳細は矢型矢印を参照
角型灯器、初期丸型灯器の初期(昭和40年代半ば頃まで)には、矢形矢印と呼ばれる形の矢印が多く採用されていた。現行のものと比較すると矢印の矢の幅が先端に近くなるほど狭くなる。また、矢尻と線の間が結合している。平成24年の法改正により、矢形矢印は法的な矢印灯器とは認められなくなった[2]ため、現在はすべて更新され公道上からは絶滅している。
旧マスク矢印[編集]
詳細は旧マスクを参照
鉄板灯器や樹脂丸型灯器の半ば(昭和世代)において、現行のものと比較するとやや矢印の大きさが小さめになっているもの。現行の矢印と形状はほぼ一致している。この世代のものは設置から30年以上経過しているものが大半で、現在は更新が進んできているため見かける機会は少ない。
新マスク矢印(現行型)[編集]
詳細は新マスクを参照
現在用いられている一般的なタイプの矢印で、矢尻と線が分離している。旧マスク世代も同様だが、300mm用のものと250mm用のものでは矢尻の開き角度が異なり、300mmのものは90度、250mmのものは105度となっている。
矢印の形状(方向)[編集]
現行の矢印においては、原則として「左折」「直進」「右折」矢印とされている。それぞれ左方向、上方向、右方向の矢印を持って対応する[3]。本項ではこの3つを「基本形」と呼ぶ。しかし、法整備が整っていなかった頃の名残や、特殊な交差点などにおいては特殊な矢印が使用されることがあった。
なお、この基本形はそれぞれ「青」「黄」「赤」に対応しており、その下(縦型灯器の場合は右)に設置することが原則とされている。この方式でない設置方法は変則矢印と呼ばれる。
斜め矢印[編集]
特殊な交差点形状(特に五差路以上)においては現在でも用いられる。東京都や栃木県などにおいては五差路に対して四方向矢印を用いた交差点が存在し、この場合基本形では表現しきれないことから斜めになった矢印が設置される。
また、交差点そのものが基本形表すのが難しい交差点(例えば、Y字路、ト字路など)においては、その交差点形状に合わせた向きの矢印が設置されることがあった。これは今でも残っているところもあるが、概ね更新時に基本形に修正されることが多い。
転回矢印[編集]
東京都渋谷区 初台
Hatsudai および 笹塚
Sasazuka に、転回(Uターン)を許す矢印としてごく短期間設置されていた。右折矢印とは区別して、線分が右から下に屈折する形となっていた。右折矢印が当時は転回禁止だったために考案されたものであったが、法改正により右折矢印でも転回可能となった[4]ため、更新が進んだことにより現在は絶滅している。
また、上記とはやや異なるものとして、静岡県に同様の屈折矢印が設置されている。これは転回とはやや異なり、交差点形状に合わせた形になっているものといえる。
二股矢印[編集]
ごく稀に1つの灯火で2方向の矢印を表示する灯器も設置されていたが、現在は残っていない。
LED式の分類[編集]
LED式においては全て新マスク矢印(現行型)に相当する矢印を使用しているが、矢印に使用される素子の数によって以下のように呼ばれ区別されることがある。
三列矢印[編集]
特に矢印の線分が素子三列で表されている場合は三列矢印と呼ばれる。初期LED灯器や厚型LED灯器の初期の世代では全国的に採用されていたが、後に輝度が向上したため後述する二列矢印に移行する都道府県が増えた。また初期LED灯器等の世代は電球式と比較してまだ高価なものだったため採用地域や採用数も偏っており、古いものでは20年以上のものが多いため現存数は比較的少なくなっている。ただし、静岡県に関しては薄型LED灯器の世代まで三列矢印を使用し続けたため、全国の中でもとりわけ多く残存している。面拡散レンズに関しては原則三列矢印は存在しない。
二列矢印(標準)[編集]
現在は二列矢印が標準となっている。全国で広く見かけることができる一般的なもの。
関連項目[編集]
注釈[編集]
参考文献[編集]
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 交通信号50年史編集委員会. 交通信号50年史. 交通管制施設協会, 1975.
- ↑ もり. 道路標識と信号機の森- 信号機<大阪府> 矢形矢印の信号機. (2026/1/20参照)
- ↑ 道路交通法施行規則 別表第一の二
- ↑ もり. 道路標識と信号機の森- 信号機<東京都> 転回矢印. (2026/1/20参照)