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「LED式」の版間の差分

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'''LED式'''(-しき)とは、[[信号灯器]]の点灯部がLED(ユニット)によって構成されているものを指す。
'''LED式'''(-しき)とは、[[信号灯器]]の点灯部がLED(ユニット)によって構成されているものを指す。
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== 概要 ==
== 概要 ==
従来の電球式(白熱電球)は、電力効率が悪く消費電力が多く、さらに寿命も短い(約1年で交換される)ものだったため、信号灯器の高寿命化のためにLED(発光ダイオード)を使用する検討がされた。
従来の[[電球式]](白熱電球)は、電力効率が悪く消費電力が多く、さらに寿命も短い(約1~2年で交換される)ものだったため、信号灯器の高寿命化のためにLED(発光ダイオード)を使用する検討がされた。


平成6(1994)年10月21日に、徳島県に日本初のLEDユニットを装着した信号灯器が設置された。当時はLEDのコストが非常に高く、またLEDの数自体も小さく多かったため採用する地域は非常に限られていた。
平成6(1994)年7月22日に、愛知県で日本初のLED式矢印灯器が設置された(現在は撤去済み)。その後、同年10月21日に、徳島県に日本初のLED式3色信号灯器が設置された。当時はLEDのコストが非常に高く、またLEDの数自体も小さく多かったため採用する地域は非常に限られていた。


全国的に広く普及するようになったのは平成13(2001)年頃で、警交仕規においてU形が採用され始めるとLEDに関する仕様も定まり、以降全国で設置が始まる。
全国的に広く普及するようになったのは平成13(2001)年頃で、警交仕規においてU形が採用され始めるとLEDに関する仕様も定まり、以降全国で設置が始まる。
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== 長所 ==
== 長所 ==
LED式は従来の[[電球式]]と比較して、次のような長所がある
LED式は従来の[[電球式]]と比較して、次のような長所がある。


=== 疑似点灯の防止 ===
=== 疑似点灯の防止 ===
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=== 薄型化・軽量化 ===
=== 薄型化・軽量化 ===
素子LEDの場合は、反射鏡などの構造が必要ないため、筐体を薄型化・軽量化することができる。
素子LEDの場合は、反射鏡などの構造が必要ないため、筐体を薄型化・軽量化することができる。
=== 安全性 ===
近年のLED式は複数の素子、回路を有するため、一部のLEDや回路が故障しても完全滅灯しない場合が多い。


== 短所 ==
== 短所 ==
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[[ファイル:着雪.jpeg|代替文=着雪している信号機|サムネイル|着雪によって灯火が見えにくくなっているLED信号機。2023年に新潟県で撮影。]]
[[ファイル:着雪.jpeg|代替文=着雪している信号機|サムネイル|着雪によって灯火が見えにくくなっているLED信号機。2023年に新潟県で撮影。]]


LEDは発熱量が少ないため、レンズに付着した雪が溶けにくく、信号が見えなくなることがある。そのため、信号機を縦型にする、[[フード#カプセルフード|カプセルフード]]を取り付ける、前方に傾ける、レンズに融雪ヒーターを取り付けるなどの対策が行われている。
=== 雷害 ===
LEDは半導体であるため、高電圧による故障が発生しやすい。屋外に設置される信号機は雷サージの影響を受ける場合が多く、これが[[素子欠け]]や滅灯の原因となることが多い。


LEDは発熱量が少ないため、レンズに付着した雪が溶けにくく、信号が見えなくなることがある。そのため、信号機を縦型にする、[[フード#カプセルフード|カプセルフード]]を取り付ける、前方に傾ける、レンズに融雪ヒーターを取り付けるなどの対策が行われている。
=== 光源交換 ===
LED式灯器は素子欠け、滅灯発生時に灯器ごと更新しなければならない場合がある。φ300灯器では適合するユニットに換装される場合もあるが、[[低コスト灯器]]や一部のLED歩灯は互換性の問題等から換装できない場合がある。


== 注釈 ==
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2025年10月20日 (月) 03:08時点における最新版


LED式(-しき)とは、信号灯器の点灯部がLED(ユニット)によって構成されているものを指す。

概要[編集]

従来の電球式(白熱電球)は、電力効率が悪く消費電力が多く、さらに寿命も短い(約1~2年で交換される)ものだったため、信号灯器の高寿命化のためにLED(発光ダイオード)を使用する検討がされた。

平成6(1994)年7月22日に、愛知県で日本初のLED式矢印灯器が設置された(現在は撤去済み)。その後、同年10月21日に、徳島県に日本初のLED式3色信号灯器が設置された。当時はLEDのコストが非常に高く、またLEDの数自体も小さく多かったため採用する地域は非常に限られていた。

全国的に広く普及するようになったのは平成13(2001)年頃で、警交仕規においてU形が採用され始めるとLEDに関する仕様も定まり、以降全国で設置が始まる。

歩行者用灯器に関しては、平成13(2001)年に神奈川県にて試験設置が行われ、その後本格採用されている。

長所[編集]

LED式は従来の電球式と比較して、次のような長所がある。

疑似点灯の防止[編集]

電球式では、西日などが当たったときに反射鏡と有色レンズによって疑似点灯が発生することがあるが、LED式では発生しない[注釈 1]

省エネルギー[編集]

LED式は電球式に比べて消費電力が6分の1程度[1]であり、省エネルギー効果が高い。

長寿命[編集]

警察庁は、ホームページ上で「電球式の場合、約半年から1年程度の寿命であるのに対し、LED式の寿命は、概ね6年から8年と見込まれており、今後の技術進歩によりさらに長くなることも期待されます。」[1]と紹介している。

日亜化学工業は、「一度設置すれば10年間は交換が不要」[2]としている。

薄型化・軽量化[編集]

素子LEDの場合は、反射鏡などの構造が必要ないため、筐体を薄型化・軽量化することができる。

安全性[編集]

近年のLED式は複数の素子、回路を有するため、一部のLEDや回路が故障しても完全滅灯しない場合が多い。

短所[編集]

LED式は従来の電球式と比較して、次のような短所がある。

着雪[編集]

着雪している信号機
着雪によって灯火が見えにくくなっているLED信号機。2023年に新潟県で撮影。

LEDは発熱量が少ないため、レンズに付着した雪が溶けにくく、信号が見えなくなることがある。そのため、信号機を縦型にする、カプセルフードを取り付ける、前方に傾ける、レンズに融雪ヒーターを取り付けるなどの対策が行われている。

雷害[編集]

LEDは半導体であるため、高電圧による故障が発生しやすい。屋外に設置される信号機は雷サージの影響を受ける場合が多く、これが素子欠けや滅灯の原因となることが多い。

光源交換[編集]

LED式灯器は素子欠け、滅灯発生時に灯器ごと更新しなければならない場合がある。φ300灯器では適合するユニットに換装される場合もあるが、低コスト灯器や一部のLED歩灯は互換性の問題等から換装できない場合がある。

注釈[編集]

  1. 電球式信号機の白熱電球をLED電球に交換した場合などは疑似点灯を防止できない。

参考文献[編集]

  1. 1.0 1.1 警察庁. “LED式信号灯器に関するQ&A”. 警察庁Webサイト. n.d. https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seibi2/annzen-shisetu/hyoushiki-shingouki/led/led.html, (2025/09/11参照).
  2. 日亜化学工業株式会社. “青色LEDで変わったもの(信号・ディスプレイ・スキャナー)”. ブログ | 日亜化学工業株式会社. 2023. https://led-ld.nichia.co.jp/jp/blog/m000011.html, (2025/09/11参照).

関連項目[編集]