欠番使用

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欠番使用(けつばんしよう)とは、交差点の管理番号を決定する際に欠番となっている既存の番号を再利用することを指す。

概要 編集

通常、管理番号は新設されるごとに最大値+1の連番が付与される。しかし、経年により廃止交差点や統合交差点が出現した場合、欠番が発生する。子の欠番を放置して常に最大値+1の連番を付与するところが多いが、一部の都道府県ではこの欠番を新設交差点に再利用するケースが見られる。これを欠番使用と呼んで区別する。

欠番の発生理由 編集

前述のとおり、廃止・統合などで運用が終了した場合にその番号の交差点が消滅するため、台帳上からも削除・廃棄され欠番となりうる。そのほかに、移管により別エリアに管理が移された場合も(内部的には元エリアの交差点廃止→先エリアの交差点新設という扱いになるため)欠番が発生する。警察署の新設に伴うエリアの分割の場合は移管後の欠番を埋めるため既存の交差点の管理番号を切り詰めるケースも存在するが、通常は欠番として放置される。

具体的な欠番使用のしくみ 編集

A警察署(以下、A署)とB警察署(以下、B署)が存在するとする。A署はA市を、B署はB市とD町、E村をそれぞれ管轄しており、その管理番号の一覧が2015年の時点で以下の通りであったとする。

A署
管理番号 設置年度 設置市町村
1 1965 A市
2 1970 A市
3 1971 A市
4 1998 A市
5 2000 A市
6 2005 A市
7 2006 A市
B署
管理番号 設置年度 設置市町村
1 1950 B市
2 1955 B市
3 1962 D町
4 1978 E村
5 1997 B市
6 2003 E村
7 2010 D町


ここで、2016年度にA市がE村を編入。署の管轄としてはA署はA市の管轄なので、B署のうちE村に相当する地域がA署に移管される。A署にはE村の交差点が管轄変更時を新設(設置)年度とみなし、通常は末尾に追加される。一方、B署はE村に設置された交差点の番号が欠番となる。

A署(E村の交差点を追加)
管理番号 設置年度 設置市町村
1 1965 A市
2 1970 A市
3 1971 A市
4 1998 A市
5 2000 A市
6 2005 A市
7 2006 A市
8 1978 A市(旧E村)
9 2003 A市(旧E村)
B署(E村の交差点をA署へ移管)
管理番号 設置年度 設置市町村
1 1950 B市
2 1955 B市
3 1962 D町
4
5 1997 B市
6
7 2010 D町

この時、欠番使用を行う都道府県の大半はこのまま番号が放置される。(神奈川県など、欠番使用を行わない都道府県においてはこれを切り詰めることがあるがここでは無視する)

この後、2017年度にB市内に2交差点の新設が決まった場合、欠番使用を行う場合は空いている4番と6番が(通常若い順に)使用される。これにより、最終的な管理番号は以下となる。

A署(変化なし)
管理番号 設置年度 設置市町村
1 1965 A市
2 1970 A市
3 1971 A市
4 1998 A市
5 2000 A市
6 2005 A市
7 2006 A市
8 1978 A市(旧E村)
9 2003 A市(旧E村)
B署(欠番使用により穴埋め)
管理番号 設置年度 設置市町村
1 1950 B市
2 1955 B市
3 1962 D町
4 2017 B市
5 1997 B市
6 2017 B市
7 2010 D町

欠番使用におけるメリットとデメリット 編集

管理者としてのものと、信号ファンなど研究者としてのもの双方を記載する。

メリット 編集

  • しっかり欠番使用がされていれば、欠番が存在しなくなるため連番がいつでも成立する。事務処理などがやりやすいほか、研究者視点で見ても穴埋めをしやすい(見つけやすい)。
  • 台帳の再利用ができるため、管理効率が上がる。

デメリット 編集

  • 新規採番を行う際にいちいち最大値を把握しておかないとならず、適切に管理していないと後述する西新井警察署のような状態が発生する。
  • 欠番使用されることにより現況の管理表で過去に廃止された元の交差点が行方不明となることが多い。

一般に、欠番を再利用するこの行為は望ましくないとされている。しかし、数都道府県では慣例的に行われているのが現状である。

欠番使用を行っているとされる都道府県 編集

  • 栃木県(新設交差点の番号が明らかに欠番を使用しているケースが見られる)
  • 埼玉県(少なくとも昭和53(1978)年から欠番の使用を確認できる)
  • 東京都(少なくとも昭和48(1973)年から欠番の使用を確認できる)
  • 和歌山県(新設交差点の番号が明らかに欠番を使用しているケースが見られる)

欠番使用されるケースとされないケース 編集

欠番使用を積極的に行う都道府県でも、新設時に欠番使用を行う場合と行わない場合が存在する。これについて、いくつかの事実を述べ、そこから推測される説を記す。ただし、各ケースが100%該当するとは限らないことに注意していただきたい。

欠番使用されるケース 編集

  • 単一横断路である。つまり、車道に対して1つの横断歩道があり、その横断用に設置されたものを指す。押ボタン式や夜間押ボタン式になっていることが多い。
  • 小規模な交差点である。感応式になっていることが多い。
  • 分離独立した交差点である。

欠番使用されないケース 編集

  • 例えば道路開通などで、ある路線において一度に複数の交差点が設置された。
  • 系統制御を行うような大規模な交差点である。
  • 廃止後即時新設(路面改良などで同位置にあった交差点を廃止し場所を少しずらし新設したケース)である。

導き出される説 編集

  • 欠番の数が足りない場合は新規番号が割り当てられる。例えば、3交差点を同時に意思決定した場合、欠番が2つしかない場合は新規番号を割り当てる。
  • 系統制御など、信号管制センターなどとの連携が必要な場合は新規に番号を割り当てる。
  • それ以外の場合において、意思決定時点で欠番が存在すればその欠番を利用する。

特殊な例 編集

警視庁西新井警察署 編集

西新井警察署は、1998(平成10)年に竹の塚警察署を分署している[1](1960年代に綾瀬警察署の分署も行われているが、今回はこの件は割愛する)。分署直前で推定420交差点ほどあったものが、120交差点近くが竹の塚警察署に移管されたとみられている[2]。これにより番号が切り詰められて最大番号が300番近くになった。切り詰めにより1998年時点での欠番はなくなったと言える。

その後平成14(2002)年頃までは300番台を付与していたものの、平成15(2003)年度に突如として424番という番号が割り当てられた交差点が新設された[2]。その後も同年に1交差点、平成25(2013)年に1交差点が400番台で割り当てられている。

推測できる原因としては、切り詰め後の番号ではなく切り詰め前の番号を使用して最大値を決定してしまっている可能性が高い。

参考文献 編集

  1. Wikipedia. 西新井警察署,歴史(2025/2/1参照)
  2. 2.0 2.1 銀河連邦.西新井警察署 - JIDS(2025/2/1参照)