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'''踏切信号'''とは、踏切警報灯と連動した[[信号灯器|信号機]]のことである<ref>[http://glossary.jste.or.jp/%E8%B8%8F%E5%88%87%E9%80%A3%E5%8B%95%E4%BF%A1%E5%8F%B7%E6%A9%9F/?relate 交通工学用語集 踏切連動信号機]</ref>。
'''踏切信号'''とは、踏切警報灯と連動した[[信号灯器|信号機]]のことである。本記事では類似概念の'''踏切連動信号'''についても記述する。


== 概要 ==
== 概要 ==
踏切信号を設置することで道路交通法第33条の「踏切前での一時停止義務」を免除できる。そのため、踏切直前の停止での遅れを解消することが可能であり、道路交通の円滑化を図ることができる<ref>[http://glossary.jste.or.jp/%E8%B8%8F%E5%88%87%E4%BF%A1%E5%8F%B7%E6%A9%9F/?relate 交通工学用語集 踏切信号機]</ref>。
踏切信号を設置することで道路交通法第33条の「踏切前での一時停止義務」を免除できる。そのため、踏切直前の停止での遅れを解消することが可能であり、道路交通の円滑化を図ることができる<ref>[http://glossary.jste.or.jp/踏切信号機 交通工学用語集 踏切信号機]</ref>。
 
なお、厳密には「踏切信号」と「踏切連動信号」は異なるものであり、前者の場合は一時停止義務が免除されるが、後者の場合は一時停止義務が免除されない<ref>[http://glossary.jste.or.jp/踏切連動信号機 交通工学用語集 踏切連動信号機]</ref>が、踏切の開閉に合わせて隣接した交差点の信号機が動作するため、道路交通の円滑化に寄与する。


== 種類 ==
== 種類 ==
=== 踏切信号 ===
'''踏切信号'''は前述の通り、青または黄色点滅の場合は一時停止義務が免除される。
==== 踏切警報灯と通常の信号灯器の両方があるもの ====
一般的な交差点に設置されているものと同様の3色の信号機が設置されているもの。多くの場合は踏切の信号であることを明示するために「踏切信号」あるいは「列車検知式信号」のような表示が行われているが、そのような表示がない踏切信号も存在する<ref group="注釈">東京都品川区の京急本線品川第一踏切、大阪市福島区の梅田貨物線浄正橋踏切、富山県富山市の富山地鉄線稲荷町踏切など。</ref>。
交差点と隣接している場合、交差点の信号と連動することが通例である。なお、愛媛県松山市の千舟町第1踏切のように、通常の信号灯器があるが青にならずに黄色点滅となる事例もある<ref>[http://haisentn.blog41.fc2.com/blog-entry-1694.html 国道56号線の踏切信号]</ref>。
==== 踏切警報灯の代わりに信号機があるもの ====
踏切警報機が設置されず、踏切警報灯の代わりに信号機が設置されているもの。この場合、踏切というよりは事実上の交差点ということになる。
東京都世田谷区の東急世田谷線若林駅近くの若林踏切に存在する<ref>[https://www.tokyu.co.jp/area/wakabayashi/article/arti-01K1YXN3N0SZNJF6RMRBSYBKAZ/ 環七と世田谷線/電車も信号待ちをする 環七と世田谷線の関係]</ref>。都電荒川線の荒川七丁目停留所近くも同様の形式である。
京都府京都市中京区の京福電鉄嵐山本線西院駅近くの踏切もかつてはこの形式であったが、現在は警報器が設置され、前述した踏切警報灯と通常の信号灯器の両方がある形式に移行している<ref>[https://www.keifuku.co.jp/cms/四条通と嵐山本線の軌道交差部への踏切遮断機設/ 四条通と嵐山本線の軌道交差部への踏切遮断機設置について]</ref>。なお、相変わらず踏切信号ではあるため、青ならば一時停止不要である状況はそのまま継続している<ref>[https://www.keifuku.co.jp/cms/wp-content/uploads/73ba60ff603a3057cb25869152896212.pdf 四条通・嵐山本線軌道交差部への踏切遮断機設置について]</ref>。
=== 踏切連動信号 ===
'''踏切連動信号'''は前述の通り、サイクルが踏切の動作と連動するが、一時停止義務が免除されない。
==== 通常の信号灯器 ====
一般的な交差点に設置されているものと同様の3色の信号機が設置されているもの。前述した「通常の信号灯器の'''踏切信号'''」とは異なり、一時停止が必要となる(そのため、踏切信号ではなく一時停止が必要であることが明示される)。
仙台市青葉区の北仙台駅近くの踏切は、踏切に隣接した交差点の信のサイクルが踏切の動作と連動するが、これは踏切連動信号であって踏切信号ではないため一時停止の義務は免除されない<ref>[https://newsdig.tbs.co.jp/articles/tbc/208288?display=1 踏切の先に信号機のある交差点「どこで何回一時停止する?」調べてみると・・・]</ref>。そのため信号機横に「踏切はとまれ」と明示されている。


=== [[一灯点滅]] ===
京都市右京区の常盤駅近くの踏切も、踏切から 50 m ほど離れた地点にある信号のサイクルが踏切の動作と連動するが、やはり踏切信号ではないため、一時停止の義務は免除されない。
赤1灯などが踏切信号に使用されることがある。


=== [[二灯式]] ===
==== [[一灯点滅]] ====
二灯式もごく稀に踏切信号の使用される。滋賀県や愛知県で確認されている<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/sshg27.htm 滋賀県の信号機 赤(信号交差点隣接踏切用・常時赤点滅)]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/saic24.htm 信号機<愛知県> 赤・赤踏切用]</ref>。
[[赤1灯]]などが踏切信号に使用されることがある。


=== 踏切警報灯の代わりに信号機が設置されているパターン ===
==== [[二灯式]] ====
踏切警報灯の代わりに信号機が設置されているパターンは東京都世田谷区の東急世田谷線若林駅近くの若林踏切に存在する<ref>[https://www.tokyu.co.jp/area/wakabayashi/article/arti-01K1YXN3N0SZNJF6RMRBSYBKAZ/ 環七と世田谷線/電車も信号待ちをする 環七と世田谷線の関係]</ref>。
二灯式もごく稀に踏切信号に使用される。滋賀県や愛知県で確認されている<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/sshg27.htm 滋賀県の信号機 赤(信号交差点隣接踏切用・常時赤点滅)]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/saic24.htm 信号機<愛知県> 赤・赤踏切用]</ref>。


=== [[おまけ|おまけの一灯]] ===
==== [[おまけ|おまけの一灯]] ====
千葉県や神奈川県、埼玉県などで確認されている踏切信号<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/schb15.htm 信号機<千葉県> おまけの赤]</ref><ref>[https://note.com/roadsign/n/na87475912724 川崎浮島の「おまけの1灯」踏切信号|道路標識マニア]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~thinsignal/saitamaomakeaka1to.html 埼玉県の信号機 おまけの赤1灯]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~thinsignal/saitamaomakeki1to.html 埼玉県の信号機 おまけの黄1灯]</ref>。
千葉県や神奈川県、埼玉県などで確認されている踏切信号<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/schb15.htm 信号機<千葉県> おまけの赤]</ref><ref>[https://note.com/roadsign/n/na87475912724 川崎浮島の「おまけの1灯」踏切信号|道路標識マニア]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~thinsignal/saitamaomakeaka1to.html 埼玉県の信号機 おまけの赤1灯]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~thinsignal/saitamaomakeki1to.html 埼玉県の信号機 おまけの黄1灯]</ref>。


=== [[変則配列]] ===
==== [[変則配列]] ====
YYRなどの変則配列踏切信号が新潟県などで確認されている<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/snig23.htm 信号機<新潟県> 黄・黄・赤踏切隣接交差点用]</ref>。RYRの変則配列の踏切信号も埼玉県や石川県で確認されている<ref>[http://ankoro.cocolog-nifty.com/gudaguda/2014/10/post-dfa7.html 踏切の信号機: 新・ぐだぐだ日記 (と覚え書き)]</ref><ref>[http://toyamahatsu.blog.fc2.com/blog-entry-356.html 庄西踏切信号 | 富山発金沢方面ゆき鈍行列車]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~thinsignal/saitamaryr.html 埼玉県の信号機 赤黄赤]</ref>。
YYRなどの変則配列踏切信号が新潟県などで確認されている<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/snig23.htm 信号機<新潟県> 黄・黄・赤踏切隣接交差点用]</ref>。RYRの変則配列の踏切信号も埼玉県や石川県で確認されている<ref>[http://ankoro.cocolog-nifty.com/gudaguda/2014/10/post-dfa7.html 踏切の信号機: 新・ぐだぐだ日記 (と覚え書き)]</ref><ref>[http://toyamahatsu.blog.fc2.com/blog-entry-356.html 庄西踏切信号 | 富山発金沢方面ゆき鈍行列車]</ref><ref>[https://trafficsignal.jp/~thinsignal/saitamaryr.html 埼玉県の信号機 赤黄赤]</ref>。


==== 変則配列の[[偏光灯器]] ====
==== 変則配列の[[偏光灯器]] ====
鹿児島県にかつて赤三灯の偏光灯器が踏切信号として設置されていた<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/skgs21.htm 鹿児島県の信号機 赤・赤・赤(踏切信号)、黄・黄・赤(踏切隣接交差点踏切直交側)]</ref>。
鹿児島県にかつて[[赤三灯]]の偏光灯器が踏切信号として設置されていた<ref>[https://trafficsignal.jp/~mori/skgs21.htm 鹿児島県の信号機 赤・赤・赤(踏切信号)、黄・黄・赤(踏切隣接交差点踏切直交側)]</ref>。
 
== 感知方式 ==
 
=== 踏切制御箱と直接通信 ===
踏切制御箱と信号制御機を直接ケーブルで接続し、踏切の鳴動信号を通信する。信頼性に優れ踏切の鳴動数秒前から列車の接近信号を受け取ることもできるため、列車接近用ステップに早めに遷移することができる。ただし、責任の所在の異なる鉄道会社の設備と接続する必要があるため、管理上の手間が大きい。そのため一部の都道府県では鉄道事業者と警察の分界点に[[責任分界箱]]を設置する。
 
=== 警報灯の点滅を検知 ===
[[踏切警報灯感知器]]を使用し、警報器の点滅を検知すると列車接近用ステップに遷移する。直接踏切設備と接続しないため管理上優れた方法であるが、検知のための踏切警報灯を余分に用意する必要がある。また、踏切警報灯の球切れ等で正常に検知しなくなる場合もある。
 
=== 警報音の鳴動を検知 ===
[[踏切警報音感知器]]を使用し、警報音の鳴動を検知すると列車接近用ステップに遷移する。直接踏切設備と接続しないため管理上優れた方法であるが、外的要因によって音を拾いづらくなる場合がある。
 
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
<references group="注釈" />
 
=== 参考文献 ===
<references />


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[一灯点滅]]
* [[一灯点滅]]
* [[路面電車用灯器]]


== 参考文献 ==
{{デフォルトソート:ふみきりしんこう}}
[[Category:信号制御]]

2025年11月7日 (金) 13:14時点における最新版

踏切信号とは、踏切警報灯と連動した信号機のことである。本記事では類似概念の踏切連動信号についても記述する。

概要[編集]

踏切信号を設置することで道路交通法第33条の「踏切前での一時停止義務」を免除できる。そのため、踏切直前の停止での遅れを解消することが可能であり、道路交通の円滑化を図ることができる[1]

なお、厳密には「踏切信号」と「踏切連動信号」は異なるものであり、前者の場合は一時停止義務が免除されるが、後者の場合は一時停止義務が免除されない[2]が、踏切の開閉に合わせて隣接した交差点の信号機が動作するため、道路交通の円滑化に寄与する。

種類[編集]

踏切信号[編集]

踏切信号は前述の通り、青または黄色点滅の場合は一時停止義務が免除される。

踏切警報灯と通常の信号灯器の両方があるもの[編集]

一般的な交差点に設置されているものと同様の3色の信号機が設置されているもの。多くの場合は踏切の信号であることを明示するために「踏切信号」あるいは「列車検知式信号」のような表示が行われているが、そのような表示がない踏切信号も存在する[注釈 1]

交差点と隣接している場合、交差点の信号と連動することが通例である。なお、愛媛県松山市の千舟町第1踏切のように、通常の信号灯器があるが青にならずに黄色点滅となる事例もある[3]

踏切警報灯の代わりに信号機があるもの[編集]

踏切警報機が設置されず、踏切警報灯の代わりに信号機が設置されているもの。この場合、踏切というよりは事実上の交差点ということになる。

東京都世田谷区の東急世田谷線若林駅近くの若林踏切に存在する[4]。都電荒川線の荒川七丁目停留所近くも同様の形式である。

京都府京都市中京区の京福電鉄嵐山本線西院駅近くの踏切もかつてはこの形式であったが、現在は警報器が設置され、前述した踏切警報灯と通常の信号灯器の両方がある形式に移行している[5]。なお、相変わらず踏切信号ではあるため、青ならば一時停止不要である状況はそのまま継続している[6]

踏切連動信号[編集]

踏切連動信号は前述の通り、サイクルが踏切の動作と連動するが、一時停止義務が免除されない。

通常の信号灯器[編集]

一般的な交差点に設置されているものと同様の3色の信号機が設置されているもの。前述した「通常の信号灯器の踏切信号」とは異なり、一時停止が必要となる(そのため、踏切信号ではなく一時停止が必要であることが明示される)。

仙台市青葉区の北仙台駅近くの踏切は、踏切に隣接した交差点の信のサイクルが踏切の動作と連動するが、これは踏切連動信号であって踏切信号ではないため一時停止の義務は免除されない[7]。そのため信号機横に「踏切はとまれ」と明示されている。

京都市右京区の常盤駅近くの踏切も、踏切から 50 m ほど離れた地点にある信号のサイクルが踏切の動作と連動するが、やはり踏切信号ではないため、一時停止の義務は免除されない。

一灯点滅[編集]

赤1灯などが踏切信号に使用されることがある。

二灯式[編集]

二灯式もごく稀に踏切信号に使用される。滋賀県や愛知県で確認されている[8][9]

おまけの一灯[編集]

千葉県や神奈川県、埼玉県などで確認されている踏切信号[10][11][12][13]

変則配列[編集]

YYRなどの変則配列踏切信号が新潟県などで確認されている[14]。RYRの変則配列の踏切信号も埼玉県や石川県で確認されている[15][16][17]

変則配列の偏光灯器[編集]

鹿児島県にかつて赤三灯の偏光灯器が踏切信号として設置されていた[18]

感知方式[編集]

踏切制御箱と直接通信[編集]

踏切制御箱と信号制御機を直接ケーブルで接続し、踏切の鳴動信号を通信する。信頼性に優れ踏切の鳴動数秒前から列車の接近信号を受け取ることもできるため、列車接近用ステップに早めに遷移することができる。ただし、責任の所在の異なる鉄道会社の設備と接続する必要があるため、管理上の手間が大きい。そのため一部の都道府県では鉄道事業者と警察の分界点に責任分界箱を設置する。

警報灯の点滅を検知[編集]

踏切警報灯感知器を使用し、警報器の点滅を検知すると列車接近用ステップに遷移する。直接踏切設備と接続しないため管理上優れた方法であるが、検知のための踏切警報灯を余分に用意する必要がある。また、踏切警報灯の球切れ等で正常に検知しなくなる場合もある。

警報音の鳴動を検知[編集]

踏切警報音感知器を使用し、警報音の鳴動を検知すると列車接近用ステップに遷移する。直接踏切設備と接続しないため管理上優れた方法であるが、外的要因によって音を拾いづらくなる場合がある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. 東京都品川区の京急本線品川第一踏切、大阪市福島区の梅田貨物線浄正橋踏切、富山県富山市の富山地鉄線稲荷町踏切など。

参考文献[編集]

関連項目[編集]