アルミ灯器

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アルミ灯器(あるみとうき)とは、信号灯器のうち材質がアルミニウムでできている世代のもの全般を指す。電球式LED式ともに製造がされている。なお、歩行者用灯器の同世代に関しては、アルミ歩灯を参照されたい。以下、本項では特筆した場合を除きすべて車両用灯器に関するものとする。また、LED式の灯器に関しては厚型LED灯器を参照。

アルミ灯器
製造期間 昭和61(1986)年~平成23(2011)年
採用地域 全国
残存数 全国
メーカー 小糸工業、日本信号、京三製作所、信号電材、三協高分子、星和電機(LED)など
警交仕規 第23号第245号第1014号
アーム 通常アーム
タイプ 分割型、一体型
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概要

従来は鉄を主な原材料として製造していたが、より軽く錆に強い材質としてアルミニウムを用いた灯器を開発し、次世代の信号灯器として設置された。比較対象として、一世代前の鉄板灯器があげられるが、この世代が各メーカーほぼ共通の筐体だったことに対し、アルミ灯器世代は各社が個性豊かな形状の信号機を製造していた。

昭和61(1986)年に信号電材がプロトタイプとしてアルミ灯器の製造を行い、その後他社もアルミ灯器の製造を順次開始。平成7(1995)年頃より本格的に設置が始まり、おおむね平成10(1998)年頃にはほぼ全国的にアルミ灯器に移行した。

分類

アルミ灯器は、各メーカーによってやや差異があれども概ね2種類に大別することができる。

アルミ灯器の製造を開始した初期は、各灯火の筐体をそれぞれ分離できる方式が多く採用された。これを分割型セパレート型セパと略すこともある)と呼ぶ。

一方、平成9(1997)年頃になると前世代の鉄板灯器のように再び分離ができない構造に戻った。これを一体型と呼ぶ。

各メーカーの動向

以下、上記分類をもとに各メーカーごとのデザインの変化を記す。

コイト電工(小糸工業)

コイト電工は平成6(1994)年頃からアルミ灯器の製造を自社で開始した。ただし、昭和62(1987)年から九州など一部の地域では信号電材のODMとして小糸工業銘板(かつ、レンズも小糸工業で使用されていたレンズ)のアルミ灯器が設置されていた。

初期は分割型を製造しており、分割型の場合は銘板形式の末尾がAとなる。これはAluminumの略と推測される。平成9(1997)年より一体型の製造に順次移行した際、形式の末尾はDとなる。これはDie-Castの略と推測される。このことから、小糸工業のアルミ灯器はそれぞれ小糸A小糸Dなどと呼ばれることもある。

レンズは原則小糸ブツブツレンズだが、徳島県などに小糸網目レンズを取り付けた灯器が存在したほか、西日対策レンズとして渦巻レンズスフェリカルレンズが採用されることもあった。また、ブツブツレンズに関しては平成10(1998)年末頃からより濃色になったものが設置されるようになった。

平成11(1999)年より、一体型の筐体のまま深いフードに順次変更。ただし、250mmに関しては従来の浅いフードが継続設置された。平成13(2001)年度よりU形車両用交通信号灯器として銘板が変化したが、250mmは例外を除き原則金属製銘板での設置となった。

平成11(1999)年~平成13(2001)年前期のフードは、浅いフード・深いフードどちらにもかかわらずすぼんでいることが多い。

小粒LEDに関しては形式の末尾にUをつけたものが採用されることが多い。

日本信号

日本信号も昭和61(1986)年から平成7(1995)年までは信号電材の筐体を使用したものが設置されていたが、平成8(1996)年から自社での製造を開始した。当初は分割型となり、と筐体が明確に区別された、やや角ばった形のデザインとなっている。

平成14(2002)年度より一体型に移行した。やや筐体の形が丸っこくなった。

日本信号は、自社でのアルミ灯器の製造を開始した後も信号電材のODMを受けており、信号電材の筐体で日本信号の銘板になっているものも多数存在する。ただし、LEDになってからはあまり見かけない。

レンズはスタンレーブツブツレンズの採用が多く、西日対策レンズとしてブロンズレンズが用いられるほか、信号電材の多眼レンズを搭載したものもみられる。この場合、筐体がやや出っ張ることが多く、その場合出目などと呼ばれることがある。

日本信号は分割型の製造がかなり遅くまで行われていた影響もあり、分割型のLED式は他メーカーと比較すると割と見かけることができる。ただし、全国的に薄型LED灯器への移行が早かったため、山梨県や埼玉県など一部を除くと他メーカーと比べてやや設置数に劣る傾向がある。

一体型以降、LED灯器のみ三工社が使用していることもある。

京三製作所

京三製作所も昭和61(1986)年から平成6(1994)年頃まで信号電材の筐体を使用していた。平成7(1995)年頃に自社製造を開始し、分割型灯器が設置され始めた。このデザインは日本信号とも若干異なる独自のデザインとなっている。

平成11(1999)年より、一体型灯器の製造に移行した。京三製作所は一体型灯器に2種類の形状が存在する。

平成11(1999)年~平成15(2003)年までの前期型は、全体的にごつごつしており背面が各灯火ごとにアーチ状の出っ張りがみられる。この形がかまぼこのように見えることからかまぼこという愛称がつけられている。また、VLAと呼ばれることもある[注釈 1]

平成14(2002)年より、背面が一体化した後期型の設置が開始された。こちらはおまるという愛称がつけられているほか、その形式名からVACと呼ばれることもある[注釈 1]

レンズは日本信号と原則同一だが、西日対策レンズとしてスフェリカルレンズが採用されることもある(小糸とは違うもの)。また、静岡県や北海道では網目レンズの搭載もみられる[注釈 2]

松下電器産業もこの筐体を使用していることがある。

信号電材

信号電材はアルミ灯器を日本で初めて開発したメーカーとされており、昭和61(1986)年にプロトタイプとして、筐体の角が丸く耳が存在しない形状の信号灯器を九州地方を中心に試験設置した[注釈 3]。ほとんどの場所は更新されており、数か所残るのみである。一灯点滅タイプも製造されていた。

九州や中国地方などでは、鉄板灯器の代わりにこの信号電材のアルミ灯器を早期から採用することがあり、そのような場所では昭和62(1987)年から分割型量産期の設置が開始されている。プロトタイプとは異なり、両端は耳の代わりに丸みを帯びており、中央部分は角がある。また、上部と下部に突起のようなものがついており、トゲトゲした見た目になっているのも特徴。鉄板灯器を採用していた都道府県に関しては原則平成7(1995)年頃よりの採用となったところが多い。また分割型が一切採用されなかった都道府県も存在する(例:神奈川県、埼玉県など)。

フードは深いものが採用されていたが、250mm用のものに関しては浅いものが採用されている。

平成10(1998)年頃より、一体型の設置が開始された。一体型は分割型にあったとげのようなものがなくなり、より一体化したすっきりとしたデザインとなった。一体型より原則300mmの設置となり、250mmのものは九州地方に数か所残存しているのみとなっている。一体型より本格採用を始めた都道府県も多い(例:千葉県)。

レンズは自社製の多眼レンズを装着することが多いが、西日対策に消極的な地域や西日対策の不要な角度などではスタンレーブツブツレンズが装着されることもある。また他メーカーのODMとして他メーカーのレンズがはめ込まれたケースも存在するほか、ブロンズレンズのものもみられる。

三協高分子

三協高分子は原則樹脂を材質とした灯器を製造していたが、アルミニウム製のものも製造していた。ただし、数は非常に少ないうえ、設置がされなかった都道府県もある。松下通信工業(松下電器産業)もこの筐体を使用していることがある。

関連項目

  • アルミ歩灯 …… 同じくアルミニウムの材質で製造された同世代の歩行者用灯器

注釈

  1. 1.0 1.1 平成15(2003)年度にU形銘板として形式が1H33系のものから変化した際、先頭に「VLA-1H33」のように「VLA」という文字列が出現したことによりこのように呼ばれることがある。しかし、後期型の筐体でも同年度~平成16(2004)年度頃まではVLAという表記だったため、前期型=VLAというわけではないことに注意。 同様に、後期型=VACというわけではない。
  2. 静岡県では、スタンレーブツブツレンズの採用は原則なく、最後まで網目レンズで設置された。理由は不明。
  3. ただし、現存するプロトタイプのものはいずれも信号電材の銘板ではない。

参考文献