製造番号
製造番号(せいぞうばんごう)とは、各信号灯器・交通機器に付番される(ほぼ)一意の番号である。各メーカーによって付番される。
概要
製造番号は各メーカーにおいて付番されており、その規則については一般に公開されていない。しかし、注意深く観察するといくつかの規則のようなものを推測することができる。そのため、製造番号が一つの判断指標となることもある。以下に、各メーカーにおける製造番号の推測された規則について記すが、この内容は全て推測であり、事実とは異なる場合が大いにあることを先に断る。また、一部のメーカーのみしか記載していないため、何かしらの推測情報がある場合は合わせて追記などしていただきたい。
コイト電工
コイト電工(小糸工業)は、過去何回か製造番号の変更を行ってきているため、世代ごとに分割して記す。また、現在は一体化されているが、車灯と歩灯で違う世代も存在する。また、制御機はやや特殊である。
角形灯器・初期丸形灯器・初代おにぎり世代
製造番号は形式と一緒くただが、概ね3~6桁の数字により構成されている。
初期丸形灯器(後期)~鉄板丸形灯器(昭和61年頃まで)
このころから、アルファベット1文字+1~4桁の数字という製造番号に切り替わる。アルファベットは「M」「A」「P」の3種類があり、概ね昭和62(1988)年頃よりAが採用され、それ以前はMが採用されている。このアルファベットが何を指すのかは不明。なお、樹脂丸形灯器に関しては如何なる世代でも「P」が用いられている。
数字は1から連番が振られていると思われるが、ある時を境にリセットされるため、複数の同一番号が存在するケースが多い。切り替えの時期は不明。
例:M173、M1、A654、A1087など
おにぎり初代(歩行者用交通信号灯器銘板)~第二世代初期(昭和53年頃まで)
歩行者用交通信号灯器銘板に切り替わったことにより新たに「形式」が「人形」となった。製造番号にも変化が起こり、3桁の数字+Eというタイプになった(たまに4桁の場合もある)。この数字はいつ切り替わるのか不明だが、特定の時期ではどの灯器も同一の製造番号を使用していたようで、概ね595Eなど500番台がロゴ入り世代、100番台や300番台などがロゴなし世代、過渡期が700番台となっていた。
例:595E、757E、358Eなど
おにぎり第二世代初期(昭和53年11月~昭和55年頃まで)
このころから、数字2桁_1桁の形式になる。この時期の刻印はやや小さくなっているのが特徴。ほとんどの場合は先頭2桁が10か11か12となっており、末尾1桁は0-9のどれか(経験上4~6が多い)。この時期も、同一の製造番号のものが多数製造されていたため、同一交差点などで同一番号を見かける確率が高い。
例:11_5、12_6など
おにぎり第二世代~おにぎり第三世代最初期(昭和59年頃まで)
製造番号が再び4桁の数字になる。車灯と分けるためか、2000番台が多く用いられている。この時期も、まだ同一の製造番号が多数製造されていた。具体的にどのタイミングで番号が切り替わるのかは不明。
例:2207、2456など
おにぎり第三世代初期~中期(昭和61年頃まで)
製造番号の数字の桁数が増え、6桁の数字となる。このころに関しても基本的に200000番台が用いられており、4桁世代の末尾に2桁足しただけのように思える。この時期から、製造番号の重複が基本的になくなり各灯器固有の番号となる(と思われる)。
例:200192、243516など
鉄板丸形灯器~アルミ灯器中期(平成16年頃まで)
従来の形式のほかに、新たに1桁の数字+1文字のアルファベットが付与されるようになった。これはその灯器の製造年月を表しており、先頭の数字が製造年の西暦下一桁(例:1989年の場合、9)を表している。アルファベットは製造月を表しており、原則A~Mまで存在し、1~12を表す。ただし、1と混同することからIは欠番となっており、ABCDEFGHJKLMがそれぞれ1~12に対応する。ただし、製造番号と製造年月が一致しないことがある。これは、製造番号を制定した時と実際に出荷したときのタイミングにずれがあるからだと推測される(例えば、製造番号自体はあらかじめ製造時に打刻しておき、それが在庫として蓄えられる。その後、それを出荷するタイミングで製造年月をつける、など)。
鉄板灯器世代のものはその後に続く従来のアルファベット部分が「A」であり、アルミ灯器以降は「F」となる。これが何を指すのかは不明。1~4桁の数字は従来のものと変わらない。
例:1AA867(1991年1月)、8JM76(1988年9月)など
おにぎり第三世代中期~第四世代中期(平成16年頃まで)
上記同様、製造番号6桁の先頭に製造年月を表す1桁の数字+1文字のアルファベットが付与されるようになった。
また、第四世代(U形歩行者用交通信号灯器銘板)のあたりから、設置形態によって6桁の先頭部分の番号が変わるようになった。一部例外はあるが、概ね100000番台~300000番台が自立歩灯に相当する設置あるいは通常設置、500000番台以降は吊り下げ設置であることが多い。
例:3B132123、5H593812など
平成16年頃~(車灯・歩灯・制御機共通)
平成16(2004)年頃より、製造番号の共通化が行われ、車灯・歩灯は原則1桁~2桁の数字+1文字のアルファベット+4桁0埋めの数字となった。車灯にあったアルファベットが消滅した。先頭2桁は従来同様製造年月を表すものであるが、平成18(2006)年頃から平成21年(2009)年までは先頭に「N」を付与して強制的に2桁にしていた(ただし、車灯・歩灯のみ)。そのため、平成16(2004)~平成17(2005)年の一部を除くと必ず7桁が存在する。
後ろ4桁は月ごとにリセットされ、1番から付与される。車灯、歩灯、制御機、その他機器で独立して管理されているようで、同一の製造番号が車灯・歩灯などで存在することがあるが、同じ種類の場合はまず重複しない。平成22(2010)年以降は西暦下2桁を採用することになり、Nのけた合わせが消滅した。
例:4D2312(2004年4月)、N8A4352(2008年1月)、15C4432(2015年3月)など
制御機・感知器などについて
制御機に関しては古い世代の制御機があまり見当たらないことから推測の域を出ないが、昭和57(1982)年くらいの時代にはもうすでに製造年月を表す2桁が既に記されていた可能性が高い(82M1345のように)。なお、制御機は車灯や歩灯よりもこの2桁と製造年月が一致しないことが多い。
樹脂歩灯について
樹脂歩灯はコイト電工(小糸工業)が製造せず三協高分子製のものを採用していたからか、どの世代も4桁の数字であることが多い。
電材セパODM灯器について
この灯器はやや特殊となっており、KO-4桁の数字となっている場合やWS-4桁の数字となっている場合もあり詳細不明。
日本信号
アルファベット1文字+数字6桁~7桁で構成されていることが多い。最初のアルファベットはどの工場で製造されたかを示すもので、以下のアルファベットを確認している。
- 「Y」… 与野(埼玉県) ※平成14(2002)年7月に閉鎖[1]
- 「K」… 久喜(埼玉県) ※与野の代わりに使用されている、末尾の数字が原則7桁になっている。
- 「O」… 大阪(大阪府) ※上部に横線がある
例:Y091827、O887261、K0000129など
電材ODM歩灯(厚型)について
多眼レンズの厚型歩灯を電材からODMを受けていた時代があるが、このころは製造番号においてY+電材の製造番号として区別されるケースがあった。ただし、電材の製造番号になっている場合やOが使われている場合もあるため、一概には言えない。
京三製作所
アルファベット1文字+(数字5桁orアルファベット1桁+数字4桁)で構成されていることが多い。日本信号と概ね似ているが、いくつかの違いがある。
- 先頭のアルファベットは「T」「X」「Z」「B」が存在する。それぞれ、「関東工場」「大阪工場?」「関西?」「ODMなど特注」となる。特にBに関してはコイト電工の灯器のODMとしてつけられることが多い。なお関東工場に統一されてからは基本的にTが使われているが、一灯点滅用の制御機等に関してはXのみしか存在しない場合などがあり、必ずしも関東だからTしか見られない、と言ったことはない。
- 末尾の5桁は、車灯・歩灯・その他機器、並びに各工場で独立して採番されていると思われ、製造するたびに1を加算していると思われる。ごくまれに数字6桁になる時もあるが原則は5桁で、99999になると一周して00001に戻ると思われる。ただし、2巡目(平成中期)の99999に差し掛かった後はABC……とアルファベットを採用している。しかしそれも平成28(2016)年頃にZまで到達してしまっている。また飛んでいるアルファベットもあるかもしれず、詳細は不明。
- なお、平成29(2017)年度より京三製作所は車灯・歩灯を信号電材からのODMに切り替えたため、以降の製造番号は信号電材と共通になっている。制御機等は引き続きT~が採用されているが、制御機に関してはアルファベットの採用は見られない。2025年1月の時点で90000番台に到達している。
信号電材
信号電材は、何度か転換期がある。世代ごとに記す。
初期(電球式世代)車灯・歩灯
この世代においては、概ね(P+)数字4~5桁であることが多い。車灯は数字のみ、歩灯がPを付与されている。
例:P0018
参考までに、欽ちゃんと呼ばれている初期の歩灯はP0001~の製造番号となっているため、単純連番になっている可能性が高い。
厚型LED灯器世代
概ね前項と変わらないが、LED式であることを表すLが付与される。
例:L16527、LP1029など
薄型LED灯器世代(平成21年頃まで)
さらに薄型であることを示す「T」が付与され、且つ車灯には一部の場合において「V」が付与されるようになった。
例:TVL1928、TPL1928など
警交仕規第1014号以降
警交仕規第1014号に対応してから、星和電機・オムロン・京三製作所のODMを製造するようになったことで製造番号の大刷新が行われた。以降、数字7~8桁の構成となっており、上2桁が製造年度の西暦下2桁に対応する。年度ごとにリセットされ、下5~6桁は000001から連番が振られる。おそらく全ODMメーカー含め車灯・歩灯共通であると思われるが、下5~6桁が90000(0)台に突入しているのは見たことがないので(そもそも1年に90万基も製造しないと思われる)、オーバーフローしたことはないと思われる。繰り返すが、製造年度のため4月からリセットされる。
三協高分子
星和電機
パナソニック
概ねコイト電工と同一で、2桁の製造年月を表す記号と4桁~6桁の数字で構成されていることが多い。
オムロン
住友電気工業
その他
- 交通システム電機は、コイト電工と同様の製造番号を採用している。(コイト電工のODM?)
備考
- ODMを採用する場合、製造番号がODM供給元になるか供給先になるかは時と場合による。