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「歩行者用押ボタン箱」の版間の差分

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* [[警交仕規第302号|警交仕規第302号 「 」形歩行者用押ボタン箱]]
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* [[警交仕規第1016号|警交仕規第1016号 歩行者用押ボタン箱]]
* [[警交仕規第1016号|警交仕規第1016号 歩行者用押ボタン箱]]
(警交仕規第1016号には高齢者等用押ボタン箱も含まれる)


== 構造 ==
== 構造 ==
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=== 取扱表示板 ===
=== 取扱表示板 ===
筐体下部に位置する。「横断歩行者はボタンをおしてください」等の文言が記載されたプレートである。これを用いずに取扱表示も点灯するタイプもあり、「おしてください」又は「ボタンをおしてください」のランプが点灯する。
筐体下部に位置する。「横断歩行者はボタンをおしてください」等の文言が記載されたプレートである。「Ⅱ」形ではこれを用いず、下部の表示も点灯式となる。
 
== 材質 ==
 
=== 鉄板製 ===
内照式や古い警交仕規第39号世代では、鉄板の折り曲げやプレスで製造された。
 
=== アルミダイキャスト製 ===
警交仕規第302号以降はアルミダイキャスト製がほとんどである。
 
=== 樹脂製 ===
松下製の一部の押ボタン箱には樹脂筐体の個体が存在する。


== 種類 ==
== 種類 ==
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* '''押ボタン'''
* '''押ボタン'''


古くから用いられている方法である。一般に赤色のボタンを押下することで横断要求を送信する。ボタンにはオムロン製のZAP型押ボタンスイッチが用いられる場合が多い。また、地域によってはゴムキャップ等を被せてボタンの保護等を行っている。
古くから用いられている方法である。一般に赤色のボタンを押下することで横断要求を送信する。ボタンにはオムロン製のZAP型押ボタンスイッチが用いられる場合が多い。また、地域によってはゴムキャップ等を被せてボタンの保護を行っている。
 
ボタン接点はB接点を用いている。そのため、ボタン入力用のケーブルが断線した場合は、常時押下状態となり事実上定周期動作を行う。


* '''タッチセンサー'''
* '''タッチセンサー'''


一部の地域に設置された変則的な個体を除き、警交仕規第1016号から用いられている方法である。タッチセンサーを触れて横断要求を送信する。ボタンの押下が不要であるため、交通弱者等に配慮したボタンとなっている。また、この場合は取扱表示板は「横断歩行者はボタンをふれてください」、表示灯では「ふれてください」の表示がされる。高価であり耐久性も押ボタンに劣ることから採用していない地域も多い。
一部の地域に設置された変則的な個体を除き、警交仕規第1016号から用いられている方法である。ボタンの代わりに設置されたタッチセンサーを触れて横断要求を送信する。ボタンの押下が不要であるため、交通弱者等に配慮したボタンとなっている。また、この場合は取扱表示板は「横断歩行者はボタンをふれてください」、表示灯では「ふれてください」の表示がされる。高価であり耐久性も押ボタンに劣ることから採用していない地域も多い。


また、一部地域ではユニバーサルデザインで更に交通弱者等に配慮した[[警管仕第42号|歩行者用タッチ式スイッチ]]を採用している。
また、一部地域ではユニバーサルデザインで更に交通弱者等に配慮した[[警管仕第42号|歩行者用タッチ式スイッチ]]を採用している。
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* '''「I」形'''
* '''「I」形'''


表示部のみ点灯し、取扱表示板を備えるもの。すなわち点灯箇所が1個であるもの。
表示部(上)のみ点灯し、取扱表示板を備えるもの。すなわち点灯箇所が1個であるもの。ボタン押下後に「おまちください(内照式は「しばらくおまちください」)」が点灯する。下側には取扱表示板が設置される。


* 「'''Ⅱ」形'''
* 「'''Ⅱ」形'''


表示部のほか、取扱表示も点灯するもの。すなわち点灯箇所が2個であるもの。ボタン非押下時は「おしてください」、押下後は「おまちください」が点灯する。
表示部のほか、取扱表示(下)も点灯するもの。すなわち点灯箇所が2個であるもの。ボタン非押下時は「おしてください(小糸等の一部個体は「ボタンをおしてください」)」、押下後は「おまちください」が点灯する。


=== 点灯表示方式 ===
=== 点灯表示方式 ===
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* '''電球式(内照式)'''
* '''電球式(内照式)'''


AC110V 10Wの白熱電球を表示部に用いたもの。「しばらくおまちください」等と記載された表示窓を内照する方式である。警交仕規は付与されず、古い世代のものが多い上、一般的な押ボタン箱と異なり制御機にAC100Vの表示部出力が必要であるため、残存数は極めて少ない。
AC110V 10Wの白熱電球を表示部に用いたもの。「しばらくおまちください」等と記載された表示窓を内照する方式である。平成10年ごろまでは生産されていた。警交仕規は付与されておらず古い世代のものが多い上、一般的な押ボタン箱と異なり制御機にAC100Vの表示部出力が必要であるため、残存数は極めて少ない。


* '''LED式(赤色発光旧フォント)'''
* '''LED式(赤色発光旧フォント)'''
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DC12Vの白色LEDを表示部に用いたもの。警交仕規第1016号で使用されている。赤色より視認性に優れた白色LEDの使用が可能になったことから、現在は原則これが設置される。
DC12Vの白色LEDを表示部に用いたもの。警交仕規第1016号で使用されている。赤色より視認性に優れた白色LEDの使用が可能になったことから、現在は原則これが設置される。


表示部は交換することが可能であり、一部の都道府県では警交仕規第302号以前の押ボタン箱にも白色LED式の表示部を取り付けている。
表示部は交換することが可能であり、一部の都道府県では警交仕規第302号以前の押ボタン箱にも白色LED式の表示部を取り付けている。また、LED式も世代により砲弾型または表面実装型LEDが使用され、個数や構造に違いがある。


=== 付加機能 ===
=== 付加機能 ===
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押ボタン箱の存在・位置を知らせたり、信号を無視しようとする横断歩行者等に警告メッセージを鳴らすことができる。
押ボタン箱の存在・位置を知らせたり、信号を無視しようとする横断歩行者等に警告メッセージを鳴らすことができる。
* 高齢者等用一体型
* 高齢者等用一体型
高齢者用押ボタン箱と一体になったもの。
高齢者用押ボタン箱と一体になったもの。高齢者等用押ボタン箱は歩行者横断用押ボタン箱より複雑な構造であり入力電圧も異なるため、内部的にはほぼ独立している。


== 使用目的 ==
== 使用目的 ==
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=== 二輪車等の通行用 ===
=== 二輪車等の通行用 ===
感応式制御等で二輪車等が通行するために使用する。二輪車は車体が小型であるため[[車両感知器]]等で感知されないことがあり、その場合は押ボタンを押下して通行する。
感応式制御等で二輪車等が通行するために使用する。二輪車は車体が小型であるため[[車両感知器]](特に超音波式)で感知されないことがあり、その場合は押ボタンを押下して通行する。「I」形の場合は取扱表示板を車両用のものに変更する。


=== 自転車・原付の二段階右折用 ===
=== 自転車・原付の二段階右折用 ===
感応式制御等で自転車及び原付が二段階右折を行い右折するために使用する。非感応側道路の交差点左奥(二段階右折時の退避地点)に設置する。
感応式制御等で自転車及び原付が二段階右折を行い右折するために使用する。非感応側道路の交差点左奥(二段階右折時の退避地点)に設置する。「I」形の場合は取扱表示板を車両用のものに変更する。


== 設置方法 ==
== 設置方法 ==

2025年11月7日 (金) 11:48時点における版

歩行者用押ボタン箱(Ⅰ形)

歩行者用押ボタン箱(ほこうしゃようおしぼたんばこ)とは、歩行者・軽車両等の横断要求の情報を送信するための押ボタンを含む筐体または装置である。便宜上「歩行者用」とするが、自転車・二輪車等にも使用される。また、広義では高齢者等用押ボタン箱も歩行者用押ボタン箱に含まれるが、ここでは横断用のものを扱う。

概要

押ボタン制御・感応式制御等において、横断歩行者・自転車や二輪車の二段階右折時にリコールするために設置する。ボタンを押下することで制御機に情報を送信し、制御を切り替えることができる。

警交仕規

(警交仕規第1016号には高齢者等用押ボタン箱も含まれる)

構造

ほとんどの歩行者用押ボタン箱は以下の設備が備わっている。

押ボタン

筐体中央部に位置する。押下することで横断要求を行うことができる。後述するが押ボタンのほかタッチ式のものもある。

表示部

筐体上部に位置する。ボタンを押下すると「おまちください」等のランプが点灯する。

取扱表示板

筐体下部に位置する。「横断歩行者はボタンをおしてください」等の文言が記載されたプレートである。「Ⅱ」形ではこれを用いず、下部の表示も点灯式となる。

材質

鉄板製

内照式や古い警交仕規第39号世代では、鉄板の折り曲げやプレスで製造された。

アルミダイキャスト製

警交仕規第302号以降はアルミダイキャスト製がほとんどである。

樹脂製

松下製の一部の押ボタン箱には樹脂筐体の個体が存在する。

種類

筐体

  • 厚箱

筐体が分厚いもの。基本的に警交仕規第39号のものであるが、警交仕規第302号以降も設置金具の都合等で設置される場合がある。

  • 薄箱

筐体が薄いもの。警交仕規第302号以降は基本的にこれが使用される。

  • その他

歩行者用タッチ式スイッチは従来の押ボタン箱と大きく異なる筐体形状であり、ユニバーサルデザインとなっている。

ボタン

  • 押ボタン

古くから用いられている方法である。一般に赤色のボタンを押下することで横断要求を送信する。ボタンにはオムロン製のZAP型押ボタンスイッチが用いられる場合が多い。また、地域によってはゴムキャップ等を被せてボタンの保護を行っている。

ボタン接点はB接点を用いている。そのため、ボタン入力用のケーブルが断線した場合は、常時押下状態となり事実上定周期動作を行う。

  • タッチセンサー

一部の地域に設置された変則的な個体を除き、警交仕規第1016号から用いられている方法である。ボタンの代わりに設置されたタッチセンサーを触れて横断要求を送信する。ボタンの押下が不要であるため、交通弱者等に配慮したボタンとなっている。また、この場合は取扱表示板は「横断歩行者はボタンをふれてください」、表示灯では「ふれてください」の表示がされる。高価であり耐久性も押ボタンに劣ることから採用していない地域も多い。

また、一部地域ではユニバーサルデザインで更に交通弱者等に配慮した歩行者用タッチ式スイッチを採用している。

表示数

  • 「I」形

表示部(上)のみ点灯し、取扱表示板を備えるもの。すなわち点灯箇所が1個であるもの。ボタン押下後に「おまちください(内照式は「しばらくおまちください」)」が点灯する。下側には取扱表示板が設置される。

  • Ⅱ」形

表示部のほか、取扱表示(下)も点灯するもの。すなわち点灯箇所が2個であるもの。ボタン非押下時は「おしてください(小糸等の一部個体は「ボタンをおしてください」)」、押下後は「おまちください」が点灯する。

点灯表示方式

  • 電球式(内照式)

AC110V 10Wの白熱電球を表示部に用いたもの。「しばらくおまちください」等と記載された表示窓を内照する方式である。平成10年ごろまでは生産されていた。警交仕規は付与されておらず古い世代のものが多い上、一般的な押ボタン箱と異なり制御機にAC100Vの表示部出力が必要であるため、残存数は極めて少ない。

  • LED式(赤色発光旧フォント)

DC12Vの赤色LEDを表示部に用いたもの。警交仕規第39号で使用された。現行品と同様白抜きの黒い板の裏から複数のLEDを用いて表示させる方式である。フォントが細く現行品より視認性が悪い。また、経年劣化により現在はほぼ見えないものも多い。

  • LED式(赤色発光新フォント)

DC12Vの赤色LEDを表示部に用いたもの。主に警交仕規第302号で使用された。フォントが読みやすく改良された。

  • LED式(白色発光新フォント)

DC12Vの白色LEDを表示部に用いたもの。警交仕規第1016号で使用されている。赤色より視認性に優れた白色LEDの使用が可能になったことから、現在は原則これが設置される。

表示部は交換することが可能であり、一部の都道府県では警交仕規第302号以前の押ボタン箱にも白色LED式の表示部を取り付けている。また、LED式も世代により砲弾型または表面実装型LEDが使用され、個数や構造に違いがある。

付加機能

  • 歩行者感応機能

歩行者感知器の機能が内蔵されており、ボタンを押下しなくても横断歩行者等を検知して横断要求を送信することができる。

  • アナウンス機能

押ボタン箱の存在・位置を知らせたり、信号を無視しようとする横断歩行者等に警告メッセージを鳴らすことができる。

  • 高齢者等用一体型

高齢者用押ボタン箱と一体になったもの。高齢者等用押ボタン箱は歩行者横断用押ボタン箱より複雑な構造であり入力電圧も異なるため、内部的にはほぼ独立している。

使用目的

歩行者等の横断用

押ボタン式制御の横断路や幹線閃光方式の押ボタン式制御、感応式制御等で、歩行者及び歩道を通行する自転車・特定小型原付が道路を横断するために使用する。

二輪車等の通行用

感応式制御等で二輪車等が通行するために使用する。二輪車は車体が小型であるため車両感知器(特に超音波式)で感知されないことがあり、その場合は押ボタンを押下して通行する。「I」形の場合は取扱表示板を車両用のものに変更する。

自転車・原付の二段階右折用

感応式制御等で自転車及び原付が二段階右折を行い右折するために使用する。非感応側道路の交差点左奥(二段階右折時の退避地点)に設置する。「I」形の場合は取扱表示板を車両用のものに変更する。

設置方法

側柱式

信号柱等に自在バンド等を用いて固定する。最も一般的な設置方法である。

押ボタン箱用のベースを備えた鋼管柱ではベースに固定することでケーブルの露出をなくすことができる。

アーム式

信号柱等からアームを伸ばし、先端に固定する。設置位置等の関係で、信号柱から離れた箇所に押ボタン箱を設置したい場合に用いる。

自立式

自立歩灯と同様、地面から細い鋼管柱で直接支持する。

設置位置

各都道府県警察によって異なるが岐阜県警察の場合、歩行者用押ボタン箱は地面から900mm以上の高さ、二輪車用押ボタン箱は1000mm以上の高さに設置する。

製造メーカー

現在も製造しているメーカー

かつて製造していたメーカー