ODM
ODM(おーでぃーえむ、Original Design Manufacturing)とは、自社での製造を行わず契約他社(委託先)で製造されたものを使用することを指す[1]。
概要[編集 | ソースを編集]
ODMという言葉自体は製造業界に広く知れ渡っているものと同一である。生産コストを削減するため、別企業に製造を委託して必要数だけ購入することを指す。交通機器においても、信号灯器、制御機などをODM契約により委託製造しているケースが古くから存在している。
ODM契約により製造された交通機器は、銘板のメーカーが委託元になることがほとんどであるため、銘板を見ればODMかどうかは判別可能(警視庁など、銘板を隠蔽しているものを除く)。
ODM契約により製造された信号灯器について、「~もどき」と呼ぶこともある。
メリット・デメリット[編集 | ソースを編集]
ODMによるメリットとデメリットは、メーカーが受けるものと信号機ファンが受けるもので若干異なるが、双方の視点から記載する。
メリット[編集 | ソースを編集]
- 自社で製造する必要がなくなるため、材料費・光熱費・維持費・人件費などの削減が期待できる。
- しっかり委託契約を結んでいれば、安価で調達できる。
- 信号機ファンとしては、銘板に載るメーカーが増えるため、銘板に興味のある場合はバリエーションが増えより楽しむことができる。
デメリット[編集 | ソースを編集]
- 委託元と委託先の技術力が釣り合っている必要がある。
- 細かな注文などは原則不可能となる。
- 信号機ファンとしては、事実上交通機器そのもののバリエーションが減ってしまうため、特定のメーカーのものしか設置されなくなる、といったケースが現れる。
各メーカーとODMの関係[編集 | ソースを編集]
日本では、古くから信号灯器のODMがかなり行われており、現在でもその傾向にある。かつてODM契約をしていたが自社製造を行うようになったメーカーもあれば、のちにODMに移行するメーカーもあらわれた。
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確実なもの[編集 | ソースを編集]
- 信号電材は、京三製作所・オムロン・星和電機に対し、低コスト灯器を製造している。
- 信号電材は、星和電機・オムロンに対し、薄型LED灯器を製造している。(京三製作所向けにも薄型LED灯器の展開がある)
- 信号電材は、コイト電工(小糸工業)・京三製作所・日本信号に対し、アルミ灯器を製造していた。
- 信号電材は、交通システム電機(陸運電機)に対し、アルミ歩灯を製造していた。
- 日本信号は、関西シグナルサービス・名古屋電機に対し、低コスト灯器を製造している。
- 日本信号は、三工社に対し、厚型LED灯器・薄型LED灯器・制御機などを製造していた。
- コイト電工(小糸工業)は、日本信号に対し、一体型アルミ灯器を製造していた。
- コイト電工(小糸工業)は、京三製作所に対し、一体型アルミ灯器やおにぎり歩灯を製造していた。
- コイト電工(小糸工業)は、陸運電機に対し、おにぎり歩灯や角型灯器などを製造していた。
- 三協高分子は、京三製作所・日本信号・(一部の)小糸工業・松下通信工業・オムロンなどに対し、樹脂丸型灯器を製造していた。
疑わしいもの[編集 | ソースを編集]
- 信号電材は押ボタン箱を製造していると思われるが、一説には京三製作所のODMともされている[注釈 1]。詳細は不明。
- 京三製作所と日本信号の六角歩灯・弁当箱歩灯はほぼ同一の見た目をしている[注釈 2]。ただし、これは共同開発の可能性がある。
ODMとOEMについて[編集 | ソースを編集]
似たような言葉に、OEM(Original Equipment Manufacturing)というのもが存在する。OEMは、基本的に委託元が設計図や製造初期段階の考案を行い、製造だけを他社に委託することを指す。いわゆる「下請け」のような状態となる。
ODMは設計・デザインを含めてすべて委託先に委託することを指す。そのため、出来上がるものは委託先のデザインと同一になる(契約内容によっては委託元の要求に合わせた独自仕様になることもあるが、結局のところあらゆる決定権は原則委託先にある)。交通機器に関しては基本的にODMによるものがほとんどである。
注釈[編集 | ソースを編集]
関連項目[編集 | ソースを編集]
参考文献[編集 | ソースを編集]
- ↑ ジェトロ. OEM生産とODM生産の違い, 2025.07.20閲覧