変則配列
変則配列(へんそくはいれつ)とは、本来定められた色の配列になっていない信号灯器を指す。
概要
道路交通法施行令第一章第三条において、日本の公道に設置される信号灯器は横型灯器の場合右から、縦型灯器の場合上から「赤(R)」「黄(Y)」「青(G)」色とするように定められている[1]。しかし、様々な理由によりこの配列ではない特殊な配列の信号灯器が用いられることがある。これを「変則配列」と呼ぶ。「変則灯器」とも呼ばれる。
近年、自動運転の施行に伴う信号灯器の配列の統一化などに伴い、年々変則配列の信号灯器は減少傾向にある。特に色覚障害者は灯火を位置で判断している場合があり、変則配列では誤った灯火と認識する場合があり危険である。また、原則として一灯の場合は変則配列とは呼ばれないことが多い(そもそも一灯には配列という概念が存在しない)が、公道上にはないものの私有地などに存在する青一灯などは変則配列扱いされることもある。
変則配列においては、以下のように対応する色を英語にした際のイニシャルを用いて表現することが多い。また、並び順は左(縦型灯器の場合は下)から並べることが多い。(例:黄黄赤の場合、YYR)
| 色 | アルファベット |
|---|---|
| 青 | G |
| 黄 | Y |
| 赤 | R |
| 蓋[注釈 1] | B |
| 矢印 | A |
主な変則配列の例
この項目は、内容をより充実させるために次の点に関する加筆が求められています。 加筆の要点 - 過去に存在したものも含めて存在したものの加筆を求めます |
四位灯
GYRR
東京都小平市「小川橋」交差点にかつて存在した[2]。単独点灯では左赤、左折矢印との同時点灯では右赤が使われていたようである。
AGYR、GYRA
横断歩道橋に設置される灯器等で、矢印灯を三位灯下に設置すると設置高制限を超えるため、三位灯の隣に矢印灯を設置した。北海道、大阪府、東京都などで設置されている。
AYRA
東京都文京区「後楽園駅前」交差点に設置されている。横断歩道橋に設置された灯器であり、矢印灯を三位灯下に設置すると設置高制限を超えるため、三位灯の隣に矢印灯を設置した。青灯火は使用しないため、矢印が代わりに配置されている。
三位灯
よく見かけるものを記す。通常交差点でも使われるほか、予告信号としての用途が多い。
RYR
本来青である部分を赤に変更したもの。変則配列の中では多く見かけることができる。動作としては、青の代わりに左赤が点滅することで一時停止しつつ進行可能とする方式、青の代わりに矢印を使う方式などがあげられる。左側の赤は使用しない場合もある(非点灯)。福岡県、奈良県、群馬県、東京都などに設置されている。
YYR
RYRの黄色版で、主道路などで青信号に相当する現示の場合に黄色点滅を代わりに行う。兵庫県、新潟県、長野県、鳥取県、東京都などに設置されており、新潟県と長野県では予告信号として使用されることが多い。
長野県の予告灯では、前方の信号が青のときに黄色の交互点滅、黄色のとき真ん中の黄色が点灯、赤のときに赤が点灯するタイプが主流となっている。
AYR
青を使用せず矢印で進行させる灯器において、使用しない青灯に矢印を組み込んだ灯器。詳しくは矢印組み込みを参照。山口県、千葉県、カンボジア、神奈川県などに設置されている。
GYY
徳島県における予告信号としてよく使用されている。
GRR
兵庫県神戸市にGRRと思われる信号機が設置されている[3]。
YGY
山口県や山形県にあるほか、かつて静岡県や神奈川県で予告信号として使用されていた。
YYY
熊本県における予告信号としてよく使用されている。かつては、神奈川県にも設置された。茨城県や静岡県にも設置例あり。
YRY
静岡県における予告信号として使用されている(減少傾向)。また、かつては山口県の岩国駅前や福岡県にも設置されていた。 宮城県では、サーキット用信号機として使用されていた。
YRR
兵庫県でごく稀に設置される[4]。
YBY
東京都内の首都高速道路に設置されている。昔は山梨県や高知県や長野県などにも設置されていた。
RRR
東京都品川区にコンテナ用灯器として設置されているが、公道上の通常交差点での設置例はあまりない。かつては鹿児島県志布志市に踏切用として設置されていた。
ARA
奈良県奈良市のあやめ池周辺に設置されており、交互信号の扱いとなっている。昔は静岡県にも設置されていた。
AAR
非常用信号機のため非点灯ではあるが、長野県の奈川渡ダム周辺に設置されている。昔は兵庫県にも設置された。
二位灯
二位灯においては、原則として予告信号での設置が大半を占めるが、そのうち特異な状態で使用されるものを代表して記す。
RR
兵庫県では、交通量僅少の道路に向けてRR灯器が設置されることがある。一灯点滅の格上げバージョンとなっており、通常は右側の赤が点灯し、進行可能になると左側の赤が点滅する。神奈川県川崎市にも数か所設置されている[5]他、かつては海老名市などにも設置されていた[6]。
神奈川県では、踏切用信号あるいは交互信号用としてRR灯器が採用されることがある。両方が赤点灯し、進行可能になると両方が点滅するタイプもある。なお、現在残存しているのは海老名市のみとなっている。
YR
RRの黄色点滅版であり、黄色点滅と赤で交通を制御する。兵庫県に少数設置されている。
YY
愛知県、神奈川県、静岡県、大阪府などで予告信号用として設置されている。同時点滅のタイプと交互点滅のタイプがある。
神奈川県ではかつて、前方の信号が青のときに交互点滅、黄色または赤のときに同時点滅するタイプが設置されていたが、更新や制御変更により消滅した。
また、岐阜県内の一部の四方向一灯点滅(個別設置)では、より信号を強調するため黄色灯火側をYY灯器とし、同時点滅を行っていた。
AA
兵庫県姫路市や奈良県奈良市に、交互信号用として矢印のみの灯器が存在する。
逆配列について
信号設置業者の施行ミスなどで、一時的に本来と逆向きに信号灯器が設置される(RYG)ことがある。これは逆配列と呼ばれ区別される。なお、前述の理由が大半であるためすぐに修正されることが多い。
歩灯でも逆配列になった例もある(修正済み)。
昔は道路の中心から「赤・黄・青」の配列となっており、道路の右側と左側とで信号機の配列が逆になっていたが、色盲者の誤認防止のため、警視庁では昭和23年に左から「青・黄・赤」の順に変更した[7]。勝鬨橋の信号機は昔の配列を今に残している。
沖縄県は戦後アメリカによる統治が行われていた影響で右側通行となっており、730(ナナサンマル)が行われるまでは信号灯器が逆配列だった[8]。
注釈
- ↑ レンズの蓋が黒いことからBlackのイニシャルをとったものと思われる
関連項目
参考文献
- ↑ e-Gov. 道路交通法施行令. 令和7年6月1日 施行
- ↑ 小平市立図書館. "004小川橋南西", 小平市立図書館/こだいらデジタルアーカイブ. n.d. , https://adeac.jp/kodaira-lib/text-list/d200010/ht000040, (参照 2025-10-12).
- ↑ 銀連放送 交通信号機369
- ↑ 兵庫県の信号機 変則配列 BRR
- ↑ 丹羽拳士朗. "おまけの1灯+赤赤灯器", Let's enjoy signal!!, 2020, https://trafficsignal.jp/~thinsignal/kanagawaomakeakaaka.html, (参照 2025-12-05).
- ↑ 丹羽拳士朗. "角形信号機--角形赤赤2灯", Let's enjoy signal!!, 2014, https://trafficsignal.jp/~thinsignal/kanagawakakugata2toakaaka.html, (参照 2025-12-05).
- ↑ 交通信号50年史編集委員会. 交通信号50年史. 5ページ.
- ↑ 沖縄県公式チャンネル. 沖縄730道の記録. 2025.10.12参照(1:54あたりに逆配列の信号灯器が映る)