「UFO型信号機」の版間の差分

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'''UFO型信号機'''(UFOがたしんごうき)とは、昭和50年代前半から昭和60年代末期まで製造されていた名の通りUFOのような形状の信号機の俗称である。
'''UFO型信号機'''(UFOがたしんごうき)とは、昭和50年代前半から昭和60年代末期まで製造されていた名の通りUFOのような形状の信号機の俗称である。


{{Infobox signal|灯器の名称=UFO型信号機|画像=[[ファイル:UFO型信号機.JPG|300px]]|画像の説明=仙台市太白区中田7丁目に設置されていたUFO型信号機(名古屋電気工業製)|製造期間=昭和51年~昭和63年頃|採用地域=宮城県、群馬県、愛知県、広島県、大阪府など|残存数=広島県、大阪府に一基ずつ(2025年4月現在)|メーカー=名古屋電気工業、小糸工業、日本信号、京三製作所|仕様書=警交仕規|仕様書番号=[[警交仕規第23号|第23号]] (後期型の小糸筐体のみ)|レンズ=三協網目レンズ、スタンレー網目レンズ、小糸初期濃色格子レンズ、小糸格子レンズ|アーム=懸垂アーム、ブリッジ型アーム}}
{{Infobox signal|灯器の名称=UFO型信号機|画像=[[ファイル:UFO型信号機.JPG|300px]]|画像の説明=仙台市太白区中田7丁目に設置されていたUFO型信号機(名古屋電機工業製)|製造期間=昭和51年~昭和63年頃|採用地域=宮城県、群馬県、愛知県、広島県、大阪府など|残存数=広島県、大阪府に一基ずつ(2025年4月現在)|メーカー=名古屋電機工業、小糸工業、日本信号、京三製作所|仕様書=警交仕規|仕様書番号=[[警交仕規第23号|第23号]] (後期型の小糸筐体のみ)|レンズ=三協網目レンズ、スタンレー網目レンズ、小糸初期濃色格子レンズ、小糸格子レンズ|アーム=懸垂アーム、ブリッジ型アーム}}


== 概要 ==
== 概要 ==
UFO型信号機は[[名古屋電気工業]]が開発した灯器で、後に続く形で大手三社([[小糸工業]]、[[日本信号]]、[[京三製作所]])が製造した。名古屋電気工業は昭和50年に、欧州のワイヤー吊り下げ式信号を参考に「懸垂型交通信号機」を開発し、名古屋市の新栄小学校前の交差点にテストケースとして設置後、同年9月に大須の赤門交差点に最初の本設置を行った<ref>名古屋電気工業、株式会社. "当社開発の「懸垂型交通信号機」撤去に関する報道に寄せて" https://www.nagoya-denki.co.jp/news/2024/07/211227/</ref>。懸垂型交通信号機や細街路用交通信号灯器とも呼ばれる。なお、ここでは個別の信号機をUFO型信号機のように集約設置したものはUFO型信号機としないとする。
UFO型信号機は[[名古屋電機工業]]が開発した灯器で、後に続く形で大手三社([[小糸工業]]、[[日本信号]]、[[京三製作所]])が製造した。名古屋電機工業は昭和50年に、欧州のワイヤー吊り下げ式信号を参考に「懸垂型交通信号機」を開発し、名古屋市の新栄小学校前の交差点にテストケースとして設置後、同年9月に大須の赤門交差点に最初の本設置を行った<ref>名古屋電気工業、株式会社. "当社開発の「懸垂型交通信号機」撤去に関する報道に寄せて" https://www.nagoya-denki.co.jp/news/2024/07/211227/</ref>。懸垂型交通信号機や細街路用交通信号灯器とも呼ばれる。なお、ここでは個別の信号機をUFO型信号機のように集約設置したものはUFO型信号機としないとする。


== 開発背景 ==
== 開発背景 ==
昭和50年の年間交通事故死亡者数は一万人を超えており、多くの尊い命が奪われていた。特に愛知県では年間ワーストに名を連ねており、規制はパトロールなどは行っていたものの、なお課題はあった。その一つが細街路である。古くからの都市では建物が密集し、細かな街路は見通しが効きづらい。愛知県にも多くの細街路の交差点が存在し、出合頭の事故が多発していた。通常の道路では特に危険な交差点ではミラーや信号機が設置され、より安全な交通環境へと整備される。しかし細街路では、排水溝やガス、電気、水道管などの埋設物が地中に張り巡らされ、信号機を設置しようにも柱を立てる場所がない場合もあった。そこで愛知県警内では、道路交通法で細かく定められている信号機の規定に適合し、かつ細街路に展開できる新型信号機の要求仕様と構想がまとめられた。そこで開発されたのが柱一本で設置できる懸垂型交通信号灯器と細街路用交通信号灯器。どちらも筐体の四面に信号機が配置され、懸垂型交通信号機にはさらに歩行者用信号機も配置されている。その後大須の赤門交差点に最初の本設置を行い、平成22年に役目を終えるまで設置され続けた<ref>名古屋電気工業「挑戦の60年史 It's NEW 1958 - 2018」</ref>。
昭和50年の年間交通事故死亡者数は一万人を超えており、多くの尊い命が奪われていた。特に愛知県では年間ワーストに名を連ねており、規制はパトロールなどは行っていたものの、なお課題はあった。その一つが細街路である。古くからの都市では建物が密集し、細かな街路は見通しが効きづらい。愛知県にも多くの細街路の交差点が存在し、出合頭の事故が多発していた。通常の道路では特に危険な交差点ではミラーや信号機が設置され、より安全な交通環境へと整備される。しかし細街路では、排水溝やガス、電気、水道管などの埋設物が地中に張り巡らされ、信号機を設置しようにも柱を立てる場所がない場合もあった。そこで愛知県警内では、道路交通法で細かく定められている信号機の規定に適合し、かつ細街路に展開できる新型信号機の要求仕様と構想がまとめられた。そこで開発されたのが柱一本で設置できる懸垂型交通信号灯器と細街路用交通信号灯器。どちらも筐体の四面に信号機が配置され、懸垂型交通信号機にはさらに歩行者用信号機も配置されている。その後大須の赤門交差点に最初の本設置を行い、平成22年に役目を終えるまで設置され続けた<ref>名古屋電気工業「挑戦の60年史 It's NEW 1958 - 2018」</ref>。


== 名古屋電気工業製 ==
== 名古屋電機工業製 ==
[[名古屋電気工業]]は前述したとおり、UFO型信号機を全国で初めて開発した企業である。レンズは三協製のレンズを使用していると思われる。歩車とも集約した灯器は宮城県に多く設置、車灯のみ集約した灯器は大阪府を中心に設置された。
[[名古屋電機工業]]は前述したとおり、UFO型信号機を全国で初めて開発した企業である。レンズは三協製のレンズを使用していると思われる。歩車とも集約した灯器は宮城県に多く設置、車灯のみ集約した灯器は大阪府を中心に設置された。


=== 初代 [歩車集約] (昭和50年~昭和51年) ===
=== 初代 [歩車集約] (昭和50年~昭和51年) ===
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== 京三製作所製 ==
== 京三製作所製 ==
京三製作所は、名古屋電気工業の後に製造/開発をしたと思われる。レンズはスタンレー製を使用していると思われる。広島県のみでしか確認がされていない。モデルは2種類ある。
京三製作所は、名古屋電機工業の後に製造/開発をしたと思われる。レンズはスタンレー製を使用していると思われる。広島県のみでしか確認がされていない。モデルは2種類ある。
[[ファイル:UFOKS.jpg|代替文=京三製UFO|サムネイル|江田島市に残る京三製作所製のUFO型信号機]]
[[ファイル:UFOKS.jpg|代替文=京三製UFO|サムネイル|江田島市に残る京三製作所製のUFO型信号機]]


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== 日本信号製 ==
== 日本信号製 ==
[[日本信号]]製は、名古屋電気工業の後に小糸工業からODMを受けて製造したと思われる。レンズは小糸工業製の濃色格子レンズでいずれも250mm。自社製の角形をベースに製造した灯器も存在する。
[[日本信号]]製は、名古屋電機工業の後に小糸工業からODMを受けて製造したと思われる。レンズは小糸工業製の濃色格子レンズでいずれも250mm。自社製の角形をベースに製造した灯器も存在する。


=== 初代(昭和50年代) ===
=== 初代(昭和50年代) ===
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===== 信号電材製 =====
===== 信号電材製 =====
前述の日本で初めてのUFO型信号機(名古屋電気工業製)が本格的に設置された場所である赤門交差点の後継機として設置された特注モデル。老朽化の為初代の名古屋電気工業製のUFO型信号機が撤去され、その更新後の灯器。提案したのは愛知県警の交通課。信号電材製の薄型灯器をベースにしており、スペースの都合上の観点などから歩灯は横向きに設置されいる。また歩灯の庇についてもこの世代のものは本来庇があるはずだが、接触防止の為庇が取り外されている。交換費は約600万円とのこと。
前述の日本で初めてのUFO型信号機(名古屋電機工業製)が本格的に設置された場所である赤門交差点の後継機として設置された特注モデル。老朽化の為初代の名古屋電機工業製のUFO型信号機が撤去され、その更新後の灯器。提案したのは愛知県警の交通課。信号電材製の薄型灯器をベースにしており、スペースの都合上の観点などから歩灯は横向きに設置されいる。また歩灯の庇についてもこの世代のものは本来庇があるはずだが、接触防止の為庇が取り外されている。交換費は約600万円とのこと。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />{{デフォルトソート:ゆうふおおかたしんこうき}}
<references />{{デフォルトソート:ゆうふおおかたしんこうき}}
[[カテゴリ:灯器]]
[[カテゴリ:灯器]]