全方向矢印時差

全方向矢印時差（ぜんほうこうやじるしじさ）とは、信号制御の1つで、時差式制御に分類される。

概要

特にこのサイクルに関して法的・公的な名称は存在しないため、「全方向矢印時差」は信号機ファンによる俗称である。「全方向矢印信号」とも呼ばれる。

原則として時差延長側にその交差点における全方向の矢印灯器を用い、その全方向の矢印を点灯させることで事実上の青信号とみなす時差式制御の一種である。通常の青延長式時差制御と似たような動きを取ることが多いが、いくつかのパターンが存在する。

なお、警察庁は全方向矢印時差において廃止を通達しており、各都道府県もこれに原則従う形となっているため、この時差制御は減少傾向にある。

制御方法

特殊なものを除くとおおむねこの2つに分類することができる。

先発式

原則として主道の片方向に全方向分の矢印灯器を設置し、時差作動時にその全方向矢印を点灯させて対向車側が赤であることを強調する。その後、主道の全方向が青になる。青延長式時差は青信号を延長するのに対し、全方向矢印時差のこのタイプは最初に時差が作動することが特徴。東京都では、最初に時差が作動する（すなわち、全方向の矢印が点灯する）方向に「先発」、遅れて青信号になる方向に「後発」と書かれた時差式表示板が設置されるケースがある。

後発式

先発式とは異なり、青延長時差に近い形。最初は両方とも青であり、その後時差作動側が黄色→赤と変わり、そこで全方向の矢印が点灯する。一度黄色を挟むため青延長式時差とは異なり瞬間的に交通の流れが止まることが多いほか、十分な時間がとられていない場合は進行可能なことに気づかずそのままサイクルが終了してしまう場合もある。これを防ぐため、黄色の際に左折・直進矢印だけ点灯させ、赤になってから右折も点灯させるといったケースもある。

メリット・デメリット

メリット

• 対向車が赤である（時差作動中である）ということが明確にわかり、安心して進行することができる。

デメリット

• 青現示とほぼ同一なので同様の現示を2種類持つことになり混乱が生じる。
• 後発の場合、前述の通り一度切り替わりが発生することがほとんどのため、交通の流れが悪くなる場合がある。

関連項目

• 親子灯器　……　十字路で運用する場合はこの設置形態になることがほとんど
• 青延長式時差制御　……　近年ではこの方式への置き換えが進んでいる