多眼レンズ
多眼レンズ(たがんれんず)とは、平成4年に信号電材が「擬似点灯防止型レンズ」として開発したレンズである。ユニット全体の名称は「遮光膜式ランプユニット」で、灯器全体の名称は「疑似点灯防止型車両用信号灯器」。平成5年に警視庁仕様として認可された[1]。平成4年に遮光板型(92B型、95A型)、平成10年に斜光膜型(98B型)を開発した。全国に先駆けて宮崎県の8交差点に32基、試験的に設置された[2]。
概要
二枚の球レンズの集合体に遮光板を挟むことで、太陽光が遮光板によって遮られるので非点灯時の疑似点灯を防止するというもの。斜め上方からの太陽光は一枚目の内部レンズで集光し、その裏面の遮光膜が太陽光を遮る為、疑似点灯を発生させない。一方、電球からの光は多眼レンズにより集光され、遮光膜に遮られることなく外へ放射される[3]。
このレンズは西日対策目的で全国各地に大量導入され、電材製のアルミ灯器以外にも日本信号製のアルミ灯器に使用されているケースもあった。また、ブツブツレンズ等よりレンズが厚いという特徴がある。
分類
同じ多眼レンズでも、様々な仕様のものが存在する。多眼レンズは以下のように分類できる。92Bなどのコードネームは最初の数字二桁が開発された年の西暦下二桁を表していると思われる。BやAなどの意味は不明。
試作型(92B型)
一番最初に信号電材が開発した初期の多眼レンズ。平成4年に開発された。遮光板は搭載しておらず、レンズを黒い色合いにすることで疑似点灯を防止ている。信号電材はこのレンズを対応機としている。ただ、太陽高度が低位置に来た時灯器レンズ面が発光してしまうという大きな問題点があった[1]。
この問題を解決するべく、後述の後期遮光板型(95A型)の開発へ移った。この灯器は量産されておらず、試作品と思われる[1]。
遮光板型(95A型)
二番目に信号電材が開発した後期の遮光板型の多眼レンズ。平成5年頃に開発されたと思われる。より遮光板の角度調整がなされた。多眼レンズと内部の遮光板がずれると特定方向から見ると暗くなる特性を生かした。恐らくこの仕様のものが警視庁仕様として認可されたものと思われる。また、製品化に向けたコストカットの為、量産型は遮光板の材質を樹脂に変更した[1]。
斜光膜型(98B型)
平成10年に信号電材が開発した最終型の多眼レンズ。遮光板型の唯一の欠点である灯器直下(下40度)での視認性改善に向けて開発された。その為に多眼レンズの複雑な凹凸面に印刷する機会を必要としたがそのような装置は存在しなかった為、信号電材が自社で印字装置の開発を行った。後に歩行者用灯器にも同じ構造で歩行者用灯器用の多眼レンズを開発し、西日対策歩行者用灯器(99P型)を完成させた。またこの98B型はは突如排熱用部品の材料が生産中止となり、250mmは排熱用部品がないと排熱が悪く、やむを得ず300mmのみ製造した[注釈 1][1]。
参考文献
注釈
- ↑ 排熱部品と思われますが、具体的に何の材料が記載されていなかったので、出典があれば加筆をお願いします。