「鉄板灯器」の版間の差分

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'''鉄板灯器'''(てっぱんとうき)とは、その名の通り鉄板をプレスして作られている丸形灯器の俗称である。鉄板、S、丸形、共通丸形、[[コッペパン]]などとも呼ばれる。特に、昭和53年から平成13年頃まで製造されていた3社共通のタイプを指す。
'''鉄板灯器'''(てっぱんとうき)とは、その名の通り鉄板をプレスして作られている丸形灯器の俗称である。鉄板、S、丸形、共通丸形、コッペパンなどとも呼ばれる。特に、昭和53年から平成13年頃まで製造されていた3社共通のタイプを指す。


{{Infobox signal|灯器の名称=鉄板灯器|画像=[[ファイル:鉄板やじるーーし.jpg|300px]]|画像の説明=柏里3交差点(大阪府)に設置されていた鉄板灯器(矢印付き、日本信号製)|製造期間=昭和53年~平成13年|採用地域=樹脂灯器の採用がメインであった都道府県を除く全国|残存数=全国的に広く残存|メーカー=小糸工業、日本信号、京三製作所、(陸運電機)|仕様書=警交仕規|仕様書番号=[[警交仕規第23号|第23号]]|レンズ=コイト格子レンズ、コイトドットレンズ、コイト二重格子レンズ(Zレンズ)、コイトヤマブキレンズ、コイト網目レンズ、コイトブツブツレンズ、渦巻レンズ(SNレンズ)、スタンレーヤマブキレンズ、スタンレー折衷レンズ、スタンレーレモンレンズ、スタンレーブツブツレンズ、ブロンズレンズ(ダークアイ)、スタンレー群馬濃色網目レンズ、蛇の目レンズ、群馬濃色網目レンズ、無色ブツブツレンズ|ユニット=小糸小粒欠込有全15周ユニット、松下初期13周ユニット|アーム=通常アーム|タイプ=関東型、関西型、東京型、埼玉型、雪国型、兵庫型、偽関東型、偽東京型など}}
{{Infobox signal|灯器の名称=鉄板灯器|画像=[[ファイル:鉄板やじるーーし.jpg|300px]]|画像の説明=柏里3交差点(大阪府)に設置されていた鉄板灯器(矢印付き、日本信号製)|製造期間=昭和53年~平成13年|採用地域=樹脂灯器の採用がメインであった都道府県を除く全国|残存数=全国的に広く残存|メーカー=小糸工業、日本信号、京三製作所、(陸運電機)|仕様書=警交仕規|仕様書番号=[[警交仕規第23号|第23号]]|レンズ=コイト格子レンズ、コイトドットレンズ、コイト二重格子レンズ(Zレンズ)、コイトヤマブキレンズ、コイト網目レンズ、コイトブツブツレンズ、渦巻レンズ(SNレンズ)、スタンレーヤマブキレンズ、スタンレー折衷レンズ、スタンレーレモンレンズ、スタンレーブツブツレンズ、ブロンズレンズ(ダークアイ)、スタンレー群馬濃色網目レンズ、蛇の目レンズ、群馬濃色網目レンズ、無色ブツブツレンズ|ユニット=小糸小粒欠込有全15周ユニット、松下初期13周ユニット|アーム=通常アーム|タイプ=関東型、関西型、東京型、埼玉型、雪国型、兵庫型、偽関東型、偽東京型など}}


== 概要 ==
== 概要 ==
[[初期丸形灯器]]の後継機であり、日本で最も普及した灯器と言われている。殆どの[[デザイン灯器]]のベース灯器にもなっている。各社、各世代ともに似たり寄ったりのデザインとなっているが、細かい違いが多くある。全てを分類すると何千種類にも及ぶため、ここでは大まかな分類とする。
[[初期丸形灯器]]の後継機であり、日本で最も普及した[[灯器]]と言われている。殆どの[[デザイン灯器]]のベース灯器にもなっている。各社、各世代ともに似たり寄ったりのデザインとなっているが、細かい違いが多くある。全てを分類すると何千種類にも及ぶため、ここでは大まかな分類とする。


== 小糸工業 ==
== [[小糸工業]] ==
殆どが自社製造。銘板の型式欄の末尾にSがある。おそらく英語で鉄を意味する、Steelの頭文字をとったものと思われる。その為、S型灯器とも呼ばれる。また、群馬県などではレンズを無色ブツブツレンズに交換し、TYランプを搭載した灯器を拝見することができる。
殆どが自社製造。銘板の型式欄の末尾にSがある。おそらく英語で鉄を意味する、Steelの頭文字をとったものと思われる。その為、S型灯器とも呼ばれる。また、群馬県などではレンズを無色ブツブツレンズに交換し、TYランプを搭載した灯器を拝見することができる。


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[[ファイル:Spiralteppan.jpg|サムネイル|304x304ピクセル|渦巻レンズを搭載した小糸製の鉄板灯器。]][[渦巻レンズ|コイト渦巻レンズ(コイトSNレンズ)]]を搭載した灯器。銘板の末尾に西日対策を意味するNが付いている。東京都、静岡県、大阪府などに多く設置された。
[[ファイル:Spiralteppan.jpg|サムネイル|304x304ピクセル|渦巻レンズを搭載した小糸製の鉄板灯器。]][[渦巻レンズ|コイト渦巻レンズ(コイトSNレンズ)]]を搭載した灯器。銘板の末尾に西日対策を意味するNが付いている。東京都、静岡県、大阪府などに多く設置された。


=== LED式 ===
=== [[LED式]] ===
一部の交差点にのみ設置された貴重な灯器。小糸小粒欠込有全15周ユニットを搭載。このユニットを搭載した灯器ではアルミ灯器の方が主流だったため、設置数がもともととても少ない。群馬県庁前の交差点が既に更新済みな為、恐らくLED式の小糸製の鉄板灯器は絶滅したと思われる。
一部の交差点にのみ設置された貴重な灯器。小糸小粒欠込有全15周ユニットを搭載。このユニットを搭載した灯器ではアルミ灯器の方が主流だったため、設置数がもともととても少ない。群馬県庁前の交差点が既に更新済みな為、恐らくLED式の小糸製の鉄板灯器は絶滅したと思われる。


かつては長野県にも存在した。
かつては長野県にも存在した。


== 日本信号 ==
== [[日本信号]] ==
殆どが自社製造。京三製のものと類似しているが、底面に二つのくぼみがあること、ゴムキャップの色や庇の形などから区別することができる。[[濃色レンズ]]を好む群馬県へ向けたスタンレー群馬濃色網目レンズを搭載した灯器が存在する。また、250mmの灯器が他メーカーと違い小型のフードが内側に取り付けられた所謂内庇灯器が存在する。比較的[[DX形灯器|DX型灯器]]からの移行が早く、多く設置されている。
殆どが自社製造。京三製のものと類似しているが、底面に二つのくぼみがあること、ゴムキャップの色や庇の形などから区別することができる。[[濃色レンズ]]を好む群馬県へ向けた[[群馬濃色レンズ|スタンレー群馬濃色網目レンズ]]を搭載した灯器が存在する。また、250mmの灯器が他メーカーと違い小型のフードが内側に取り付けられた所謂内庇灯器が存在する。比較的[[DX形灯器|DX型灯器]]からの移行が早く、多く設置されている。
[[ファイル:溶接台座と通常取り付けの違い.png|サムネイル|343x343ピクセル|左が溶接台座、右が通常の庇取り付け。直接庇を台座に溶接しているのが分かる。]]
[[ファイル:溶接台座と通常取り付けの違い.png|サムネイル|343x343ピクセル|左が溶接台座、右が通常の庇取り付け。直接庇を台座に溶接しているのが分かる。]]


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=== 初代 ===
=== 初代 ===
庇がネジ取り付けに変更。250mmの灯器は内庇と外庇の二種類が存在する。同じく[[ヤマブキレンズ|スタンレーヤマブキレンズ]]を搭載。
庇がネジ取り付けに変更。庇取り付け金具用台座はり裾が長い初期のものであの取り付け方式は溶接。試行錯誤段階と思われ庇取付方法や取り付け金具の種類が灯器によって異なり数種類に細分できる。250mmの灯器は内庇と外庇の二種類が存在する。(外庇のものは兵庫や広島等の極限られた地域での設置。)先代と同じく[[ヤマブキレンズ|スタンレーヤマブキレンズ]]を搭載。


== 京三製作所 ==
=== 2代目 ===
使用しているレンズが共通である事から日本信号製と酷似した外見だが、底面が扁平で4つの水抜き穴がある等の違いがある。他2社製のものと異なり基本的に下側の庇取り付け金具用台座が付属していない事が京三製である<ref group="注釈">大きな特徴。逆に、下側の台座があるタイプが京三製でないとは限らない。</ref>。[[警交仕規]]第23号準拠。[[初期丸形灯器]]である[[宇宙人|宇宙人灯器]]の製造期間が他メーカーと比べると大変長い為か、3メーカーの中では最も登場が遅く、製造開始は昭和53(1978)年10月頃からと思われる。尚、これ以前に鉄板灯器の指定があった地域には日本信号から[[ODM]]調達した灯器を自社製として出荷していた。
昭和54(1979)年6月(群馬県に設置されたものでは同年1月~)~平成3(1991)年3月までの製造の灯器の形態。庇取り付け金具用台座が裾が短い現行型へ変更され、取り付け方式もねじ留めになった。250㎜灯器は内庇へ統一。ヤマブキレンズ、[[折衷レンズ]]、[[レモンレンズ]]、[[群馬濃色レンズ]]、[[ブツブツレンズ]]、[[ダークアイレンズ]]([[ブロンズレンズ]])を搭載したものが見られる。
 
=== 3代目 ===
平成3(1991)年度~平成9(1997)年秋頃までの製造の灯器の形態。[[レンズ蓋固定金具台座軸抜け止め処理]]が変更され、250㎜灯器は外庇に統一された。レモンレンズ、ブツブツレンズ、小糸渦巻レンズ、ダークアイレンズを搭載したものが見られる(渦巻レンズ搭載のものは絶滅)。平成5(1993)頃に塗装色が青みがかったシグナルグレーに変更された。
 
=== 埼玉型 ===
昭和54(1979)年(?)~平成3(1991)年3月頃までの製造の灯器の形態。レンズ蓋固定金具台座軸抜け止め処理が上記のものとは異なる。また原則250㎜灯器も外庇を搭載。初期の灯器が残存しておらず不明な点が多い。ヤマブキレンズ、折衷レンズ、レモンレンズ、ブツブツレンズ、ダークアイ(ブロンズ)レンズを搭載したものが見られる。
 
=== 小糸製ODM ===
茨城県内にかつて存在した灯器。レンズ含め完全なODM筐体。平成3(1991)年製。
 
=== 京三製ODM ===
福島県内にて確認されている。灯器は関東型でレモンレンズを搭載したもの。昭和63(1988)年製。
 
== [[京三製作所]] ==
使用しているレンズが共通である事から日本信号製と酷似した外見だが、底面が扁平で4つの水抜き穴がある等の違いがある。他2社製のものと異なり基本的に下側の庇取り付け金具用台座が付属していない事が京三製である大きな特徴。ただし、古い世代や一部地域(東京都・埼玉県)では下側の台座があるタイプが設置されていたため、台座のあるタイプが必ずしも京三製でないとは限らない。[[警交仕規]]第23号準拠。[[初期丸形灯器]]である[[宇宙人|宇宙人灯器]]の製造期間が他メーカーと比べると大変長い為か、3メーカーの中では最も登場が遅く、製造開始は昭和53(1978)年10月頃からと思われる。尚、これ以前に鉄板灯器の指定があった地域には日本信号から[[ODM]]調達した灯器を自社製として出荷していた。


他メーカーに比べて筐体タイプの地域差が大きい。大きく分けると東日本のものと西日本のものに分けられるが、細かく分けると関東型、関西型、東京型、埼玉型、偽関東型、偽関西型、偽東京型…などに分類できる。
他メーカーに比べて筐体タイプの地域差が大きい。大きく分けると東日本のものと西日本のものに分けられるが、細かく分けると関東型、関西型、東京型、埼玉型、偽関東型、偽関西型、偽東京型…などに分類できる。
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西日本に設置されたタイプ。庇取り付け金具用台座が存在せず、[[フード]]がレンズ蓋に直接取り付けられている他、レンズ蓋防水用のゴムパッキンが付属しているものも多い。
西日本に設置されたタイプ。庇取り付け金具用台座が存在せず、[[フード]]がレンズ蓋に直接取り付けられている他、レンズ蓋防水用のゴムパッキンが付属しているものも多い。


== 陸運電機 ==
== [[陸運電機]] ==
昭和53年頃に先述の小糸工業からODM提供を受けて製造。小糸工業純正のものと殆ど違いがない。
昭和53年頃に先述の小糸工業からODM提供を受けて製造。小糸工業純正のものと殆ど違いがない。