右左折車両分離方式

右左折車両分離方式（うさせつしゃりょうぶんりほうしき）とは、歩車分離式制御の一つ。特大規模の交差点において用いられることが多い。

概要

右折車の滞留を防ぐ目的として右折車両分離方式が広く一般的に使われているが、これの発展形となる。

この制御を行う場合、左折・直進・右折のレーンをすべて個別に用意する必要がある。従来左折・直進（あるいはさらに右折）を可能とする現示のみで対応していたのを、そのフェーズでは直進のみとし、かつ交錯しないフェーズにおいて左折を分離させることで安全に歩行者を横断させられる。

サイクル例

警察庁の指針では、以下のようなサイクルを定義している。（間の黄色や全赤は省略する）

一般的に指針として定められているサイクル

フェーズ	主道車灯	主道歩灯	従道車灯	従道歩灯
1	直進矢印	青	赤	赤
2	直進・左折矢印	赤	赤	赤
3	右折矢印	赤	赤	赤
4	赤	赤	直進矢印	青
5	赤	赤	直進・左折矢印	赤
6	赤	赤	右折矢印	赤

しかし、このサイクルでは後述するデメリットとして「全体の赤時間が非常に長くなる」欠点がある。これを解決するため、現状取り入れられている右左折車両分離方式は以下のサイクルになっていることが多い。

フェーズ	主道車灯	主道歩灯	従道車灯	従道歩灯
1	直進矢印	青	赤	赤
2	右折矢印	赤	左折矢印	赤
3	赤	赤	直進矢印	青
4	左折矢印	赤	右折矢印	赤

すなわち、フェーズ2・フェーズ5をスキップして、その代わりにある方向が右折可能なフェーズでもう一方が左折を可能とする方式である。これにより指針として定義されているサイクルより効率化し、待ち時間を減らしつつ歩行者との交錯を阻止している。

なお、大阪府などでは立体交差がある6差路（所謂側道が一方通行）の場合、さらに複雑なサイクルを行い最大限青時間が延びるようにしているものが存在する。

メリット・デメリット

メリット

• 信号灯器の現示に従う限り、車両と歩行者の交錯が一切発生しないため、安全に通行可能。
• 各方向の車両が分散されるため、右折車両分離方式や未対策の交差点と比較すると渋滞を阻止できる。

デメリット

• 左折レーン、直進レーン、右折レーンの最低3つが必要となり、大規模な交差点でないと採用しにくい。
• 前述の通り、サイクルは適宜合理化したり時間調整をしないと待機時間が増え、余計に渋滞が悪化する。

これらの要素から、交通量の多いバイパス道路や大都市部の主要道路の交差点などで採用されているほかあまり積極的な採用は見られず、他と比較するとややお目にかかりにくいものである。