「変則矢印」の版間の差分
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'''変則矢印''' | '''変則矢印'''(へんそくやじるし)とは、矢印灯器が通常と異なる位置に設置されている信号機である。また、←↑→以外の矢印(斜め方向や[[曲がった矢印]]など)を指すこともある。本項目では前者について取り上げる。 | ||
[[ファイル:変則矢印.jpg|代替文=変則矢印|サムネイル|左折矢印が赤の下に設置されている信号機。2017年に群馬県で撮影。]] | [[ファイル:変則矢印.jpg|代替文=変則矢印|サムネイル|左折矢印が赤の下に設置されている信号機。2017年に群馬県で撮影。]] | ||
== 概要 == | == 概要 == | ||
矢印灯器の設置は警察庁の通達によって定められている<ref>出典:「[https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20240326_2.pdf 時差式信号現示による制御に関する運用指針の制定について(通達)]」(警察庁)(2025-10-12閲覧)</ref>。原則として、左折矢印は青の下(縦型の場は右)、直進矢印は黄色の下(右)、右折矢印は赤の下(右)に設置される。 | 矢印灯器の設置は警察庁の通達によって定められている<ref>出典:「[https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20240326_2.pdf 時差式信号現示による制御に関する運用指針の制定について(通達)]」(警察庁)(2025-10-12閲覧)</ref>。原則として、左折矢印は青の下(縦型の場は右)、直進矢印は黄色の下(右)、右折矢印は赤の下(右)に設置される。 | ||
[[ファイル:矢印灯器の配置.png|代替文=矢印灯器の配置|なし|サムネイル| | [[ファイル:矢印灯器の配置.png|代替文=矢印灯器の配置|なし|サムネイル|400x400ピクセル|出典:「時差式信号現示による制御に関する運用指針の制定について(通達)」(警察庁)(<span style="word-break: break-all;"><nowiki>https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20240326_2.pdf</nowiki></span>)より「矢印灯器の配置」を抜粋]] | ||
しかし、何らかの理由によりこの原則に従わずに設置される場合がある。信号ファンの間ではこのような矢印は「変則矢印」と呼ばれている。なお、青矢印と黄矢印については、1975年出版の「交通信号50年史」に「主信号の下位に黄矢印を設け、その下位に青矢印とする。」<ref>交通信号50年史編集委員会. [https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001150591 交通信号50年史]. 187ページ.</ref>と記述されているが、当時は設置についての規定がなく、旧来の慣習に委されていたため、このルールが現在でも有効であるかは定かでない<ref group="注釈">188ページには「主信号と青矢印一灯の組合せ(図2,7,6-3)」として青の下に右折矢印が設置されている図が掲載されている。現在の通達では右折矢印は赤の下に設置するため、変則矢印である。</ref>。 | しかし、何らかの理由によりこの原則に従わずに設置される場合がある。信号ファンの間ではこのような矢印は「変則矢印」と呼ばれている。なお、青矢印と黄矢印については、1975年出版の「交通信号50年史」に「主信号の下位に黄矢印を設け、その下位に青矢印とする。」<ref>交通信号50年史編集委員会. [https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001150591 交通信号50年史]. 187ページ.</ref>と記述されているが、当時は設置についての規定がなく、旧来の慣習に委されていたため、このルールが現在でも有効であるかは定かでない<ref group="注釈">188ページには「主信号と青矢印一灯の組合せ(図2,7,6-3)」として青の下に右折矢印が設置されている図が掲載されている。現在の通達では右折矢印は赤の下に設置するため、変則矢印である。</ref>。 | ||
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丸型灯器([[初期丸型灯器]]<ref group="注釈">[[宇宙人]]を除く。</ref>、[[樹脂丸型灯器]]、[[鉄板灯器]])は矢印取り付け用の穴が青の上下と赤の上下にしかなく、それぞれ内側に寄っている。そのため、直進と左折、あるいは直進と右折の矢印を設置する場合は、直進矢印を黄色の下ではなく赤や青の下に設置することがある。 | 丸型灯器([[初期丸型灯器]]<ref group="注釈">[[宇宙人]]を除く。</ref>、[[樹脂丸型灯器]]、[[鉄板灯器]])は矢印取り付け用の穴が青の上下と赤の上下にしかなく、それぞれ内側に寄っている。そのため、直進と左折、あるいは直進と右折の矢印を設置する場合は、直進矢印を黄色の下ではなく赤や青の下に設置することがある。 | ||
また、[[ | また、[[信号電材アルミ一体型|信号電材アルミ一体型灯器]]は一灯の矢印灯器が横向きとなっているため、並べて設置できない。通常は二灯の矢印が使われるが、後から矢印を追加した場合などは離して設置する必要がある。「[[耳]]」のある矢印灯器も、結合せずに離して設置される場合がある。 | ||
=== 事故によって破損したため === | === 事故によって破損したため === | ||
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=== 矢印を共用するため === | === 矢印を共用するため === | ||
鹿児島県曽於市には、1つの信号機のみで本線と側道に対して信号を出すために、右折矢印と直進矢印の位置を入れ替えている交差点がある<ref>丹羽拳士朗. "変則配列矢印", Let's enjoy signal!!. 2024, https://trafficsignal.jp/~thinsignal/kagosimahensokuyazirusi.html, (参照 2025-10-12).</ref>。(←→↑)。側道にのみ見せる右折・左折矢印は[[フード#誤認防止フード(ルーバーフード・視角制限フード)|ルーバーフード]]となっているが、本線と側道の両方に見せる直進矢印は[[フード#通常庇(ノーマルフード)|通常フード]]で右側に設置されている。このような例は非常に稀であり、この1箇所しか発見されていない。 | 鹿児島県曽於市には、1つの信号機のみで本線と側道に対して信号を出すために、右折矢印と直進矢印の位置を入れ替えている交差点がある<ref>丹羽拳士朗. "変則配列矢印", Let's enjoy signal!!. 2024, https://trafficsignal.jp/~thinsignal/kagosimahensokuyazirusi.html, (参照 2025-10-12).</ref>。(←→↑)。側道にのみ見せる右折・左折矢印は[[フード#誤認防止フード(ルーバーフード・視角制限フード)|ルーバーフード]]となっているが、本線と側道の両方に見せる直進矢印は[[フード#通常庇(ノーマルフード)|通常フード]]で右側に設置されている。このような例は非常に稀であり、この1箇所しか発見されていない。 | ||
=== 他の信号機と矢印の位置を揃えつつ、実際の方向に近づけるため === | |||
神奈川県川崎市「丸子橋」交差点では、丸子橋側から来た車に対する信号機が交差点の左側、中央、右側に3灯設置されている。矢印は3灯とも青の下に設置されているが、向きは左から順に「↑」、「↖︎」、「←」となっており、それぞれの信号機を見たときに進める道路のある方向に近くなるように調整されている。 | |||
=== 視認性を上げるため === | === 視認性を上げるため === | ||
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=== 変則矢印のまま更新したため === | === 変則矢印のまま更新したため === | ||
上に列挙した理由で変則矢印となっていた信号機も、更新時は通達に則り矢印の位置が変更されることが大半であるが、なぜかそのままの設置位置で更新されることがある。 | |||
=== 不明 === | === 不明 === | ||
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* [[7灯信号機]] | * [[7灯信号機]] | ||
* [[ぶどう型信号機]] | * [[ぶどう型信号機]] | ||
* [[変則配列]] | |||
{{デフォルトソート:へんそくやしるし}} | {{デフォルトソート:へんそくやしるし}} | ||
[[カテゴリ:設置方法]] | [[カテゴリ:設置方法]] |